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5月21日に福井地裁が、関西電力の大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。22日付の朝日新聞によると、「大飯原発の安全技術と設備は脆弱なものと認めざるを得ない」というのが判決の理由ということだ。

筆者は、原発については廃止するのが望ましいと思っている。できることなら今すぐにと言いたいが、電力の安定供給や電力会社の財務状況を考えると、それは難しいということもわかっている。しかし、将来的には原発ゼロを目指すのが、我が国の進むべき道であろう。

福島原発事故と同じ事態を招く危険性


関西電力の2012年度の有価証券報告書の「対処すべき課題」を読むと、2013年度は、大飯原発3、4号機の安全・安定運転の継続と高浜発電所3、4号機をはじめとする原子力プラントの早期再稼働に向けて、さらなる安全性と信頼性の向上に取り組み、今後施行される新規制基準に対応していく旨が記載されていた。

そして、関西電力は、その通りに新規制基準に対応する努力をして適合審査を申請した。原子力規制委員会の審査に合格すれば、大飯原発の稼働が認められると考えていただろうから、今回の福井地裁の判決には、関電側も納得がいかないだろう。


福井地裁は、人為的につくられた基準に適合しているかどうかではなく、福島原発事故と同じ事態が再び起こる危険性があるかどうかで、大飯原発の稼働を認めるかどうかを判断した。

関電側は、原発敷地で想定される最大級の地震の揺れを700ガルとし、1,260ガルまで耐えられると主張したが、判決は、国内最大の揺れは08年に観測した岩手・宮城内陸地震の4,022ガルであったことなどを踏まえ、関電側の想定に根拠がないとした。

筆者は、今回の福井地裁の判決を支持する。

科学的判断は、今現在の科学の水準でしか行うことができない。そのため、人為的に作った基準が、今現在の科学の水準から優れたものだったとしても、今後の科学の進歩により将来的に覆る可能性がある。それなら、過去に起こった地震と比較して、それよりも大きな地震が来ても耐えられるように対策をする方が、安全性が高いと考えられる。


事故を起こしていない関電には酷な判決


しかし、今回の福井地裁の判決は、原発事故を起こしていない関電には酷だったと思う。

今まで事故を起こしていないのだから、将来も事故を起こさないという判断は短絡的だが、東日本大震災以降の関電に対する風当たりの強さは、まるで、関電が事故を起こしたかのような印象を受ける。

発電の大部分を原発に依存していた関電は、東日本大震災が起こった2011年3月以降、厳しい経営を強いられている。

以下は、関西電力の2013年度の決算短信と2012年度の有価証券報告書から作成した連結上の売上高、経常利益、当期純利益の推移を表にしたものだ。

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これを見ると、明らかなように2010年度の黒字を最後に2011年度から2013年度の3期連続で赤字となっている。当然、赤字が続いている以上、設備投資や安全性確保のための投資は、事業から得られた資金だけで賄うことが困難となるので、借入に依存することになる。

それを明確に表しているのが、キャッシュフローだ。
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上の表は、関電のキャッシュフロー計算書から抜粋した営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの金額だ。

簡単に説明すると、営業キャッシュフローは事業から得たキャッシュ(現金及び現金同等物)だ。営業キャッシュフローで得たキャッシュは、事業に必要な設備投資のための資金として使われる。投資キャッシュフローは、基本的に設備投資に必要となった資金を表すので、金額はマイナスとなる。

2010年度は、営業キャッシュフローで投資キャッシュフローを賄うことができているが、2011年度以降は、原発の稼働が停止した影響や燃料の高騰などで、営業キャッシュフローが極端に少なくなり、これだけでは設備投資を行えなくなっている。

こういう状況になると、原発の安全性確保のための投資どころか、既存設備への投資も、事業で得た資金だけで行うのが難しいことは容易に想像できるだろう。そこで、設備投資のための資金を借入で賄うことになる。

財務キャッシュフローは、新たな借入を行うと資金流入が発生するのでプラスとなり、借入を返済すると資金流出が発生するのでマイナスとなる。

2010年度は、営業キャッシュフローで投資キャッシュフローを賄い、なお余剰があったことから、その一部が借入の返済に回っている。しかし、2011年度と2012年度は、営業キャッシュフローが極端に少なかったため、投資キャッシュフローの大部分を借入によって賄った形となっている。

2013年度は、電力料金の値上げもあったことから、営業キャッシュフローが改善し、投資キャッシュフローをそれで賄ったことがわかる。


次に関電の純資産の状況を見る。
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2010年度は1兆8千億円あった純資産が、2013年度では1兆2千億円にまで減少している。3年で6千億円も減っているのであるから、このペースで減少し続けると、2019年度で関電の純資産はゼロとなってしまう。


今の関電の財政状態、経営成績、キャッシュフローの状況を見て、原発の再稼働を認めず、しかも、電力料金の値上げにも反対することができるだろうか。

先ほども述べたが、筆者は、原発再稼働には反対だ。しかし、反対を唱えているだけでは、関電の財政状態は悪化する一方だ。原発を稼働させないのなら、せめて高騰する燃料費を賄うためにさらなる電力料金の値上げを実施しても良いのではないだろうか。

筆者は、安全を確保するための電力料金の値上げなら大いに賛成だ。
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