上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
5月27日付の産経新聞で、財務省が2013年末の対外資産負債残高を公表したことが報じられた。それによると、日本の対外純資産残高は前年末よりも9.7%増の325兆70億円となり、過去最大となった。

我が国の対外純資産残高は世界一で、2位が中国の207兆円、3位がドイツの192兆円だ。中国の1割未満の人口でしかない日本が、1.5倍以上も多くの対外純資産を保有しているのであるから、まだまだ中国との比較では、相当裕福な国であると言える。

日本の対外純資産残高の推移


2013年末の対外純資産残高の詳細を財務省のホームページで確認した。

それによると、対外資産残高は797兆770億円、対外負債残高は427兆700億円であり、両者の差額325兆70億円が対外純資産残高となる。

対外資産は前年比20.4%増で、金額にすると135兆円ほど増えている。この内、為替相場の影響による増加額が105兆円あったことから、安倍政権発足以降の急激な円安が、対外資産残高の増加の主要因と言える。

一方の対外負債残高は前年比29.1%の増加率となっている。金額にすると106兆円の増加だ。負債の増加要因のうち、為替相場の影響は24兆円だったことから、対外資産と比較すると、為替の影響はそれほど大きくない。対外負債の増加要因は、他に非居住者による本邦資産の取得超45兆円、非居住者に保有されている本邦証券の価格上昇に伴う評価替え等36兆円がある。

以下のグラフは、対外資産残高と対外負債残高の推移を示したものだ。これを見るとわかるように対外資産の増加と対外負債の増加が、ほぼ同じような動きをしているので、対外資産残高が対外負債残高を下回るということは、当分起こらないだろう。

kaigaijunshisan13.png


対外負債残高の内訳


新聞各紙では、日本の債権残高が23年連続世界一であることが強調されている。それについては、各新聞記事で確認してもらうと良いだろう。

このブログでは、新聞で報じられている内容と同じ事を書いても面白みがないので、資産側には焦点を当てず、負債側を中心にみていくことにする。

まず、対外資産と対外負債が、どういうものなのかを簡単に説明しておく。

財務省のホームページを引用すると対外資産は、「我が国の居住者が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行を請求し得る資産」ということになる。簡単にいうと、日本人が外国人や外国企業に資金を貸し付けたり、海外の株式や債券を取得したりして、2013年末に保有している財産のことだ。

一方の対外負債は、「我が国の居住者が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行し得る負債」のことだ。これも簡単にいうと、日本人が海外から借金をしたり、出資を受けたりしている2013年末の残高となる。

また、対外負債は、直接投資、証券投資、その他投資に大きく分けることができる。

直接投資は、財務省の定義によると、「出資割合が10%以上となる投資先法人に対する出資、及び当該投資先法人との間における貸付・借入等」ということだ。対外負債の直接投資は、日本人や日本企業が海外の金融機関や投資家から出資を受けたり借入をしたりしていることを意味する。

証券投資は、財務省の定義によると、「資産運用目的の株式及び債券投資」となる。対外負債の証券投資は、海外の金融機関や投資家が日本の債券や株式にどれだけ投資しているかということを表している。

その他投資は、財務省の定義によると、「直接投資、証券投資、金融派生商品及び外貨準備のいずれにも該当しない資本取引。例:貸付・借入、貿易信用の授受、現預金(預け金・預り金)等」となる。対外負債のその他投資の具体例は、貿易によって発生した仕入債務、銀行の本支店間の資金移動、外国人が日本の銀行に預けている預金等だ。


対外負債残高の推移から見る日本への投資の魅力


それでは、日本の対外負債残高を直接投資、証券投資、その他投資に分けて2001年から2013年まで見ていこう。

kaigaijunshisan132.png

上のグラフを見ると一目瞭然だが、日本の対外負債は、直接投資が極端に少なく、証券投資とその他投資が多くなっている。

このグラフから分析すると、海外の投資家は、日本企業の債券や株式に魅力を感じ積極的に投資しているようだ。理由はいろいろとあるのだろうが、日本企業の安定性が評価されているように思える。なお、2013年末の証券投資のうち、株式の残高は15兆円、債券の残高は10兆円となっている。

その他投資19.3兆円のうち13.5兆円は銀行部門の借入、現・預金、雑投資の残高だ。銀行業務から生じた負債が大部分を占めており、公的部門やその他部門の残高は、それほど重要性がなさそうだ。


筆者が、問題があるのではないかと思っているのが、直接投資の負債残高の少なさだ。

直接投資が少ないということは、海外の企業が、日本で事業展開する魅力を感じていないということではないだろうか。日本に子会社を設立する、日本に工場を建てる、日本に支店を作るといった選択を、海外の企業はほとんど考えていないのだろう。

日本は人件費が高いので、わざわざコストが増えるような国に海外企業が投資する利点はない。また、最近、話題となっているが、法人税の実効税率の高さも海外資本を国内に呼び込めていない理由なのかもしれない。


どのような理由で、日本への直接投資が少ないのかは、海外企業の経営者に聞いてみなければわからないが、統計を見る限りでは、マネーゲームには魅力を感じるが、ビジネスの拠点としては、それほど旨味がないというのが、日本の評価なのではなかろうか。
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントの投稿

非公開コメント

PAGETOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。