上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
6月3日付の朝日新聞で、4年連続で船井電機の純損益が赤字になったことが報じられた。

船井電機と言えば、大手と差別化を図り、安い電化製品で成長を続けてきた企業というイメージがあるが、ここ数年は苦境に立たされているようだ。同社の最近の不調がどのあたりにあるのか、2014年3月期の決算短信と2013年月期の有価証券報告書をダウンロードして、経営成績を少しばかり分析してみた。

時代はアナログからデジタルへ移行


まず、朝日新聞の記事に書かれている船井電機の不調の理由を紹介しておく。

船井電機は、売上高の7割を北米市場が占めており、その多くは液晶テレビによるものだ。製品は、中国の委託工場で生産し、小売最大手の米ウォルマートなどで売っている。

船井電機は、アメリカでの液晶テレビのシェア及び売上高で3位だが、1位のサムスン電子と比較するとどちらも大きく溝をあけられている。特にアメリカでの液晶テレビの売上高は、サムスンが33.1%であるのに対して船井は7.3%でしかない。実に4倍以上の差をつけられているのだ。


記事の中で上村義一社長は、自社の液晶テレビについて「価格もデザインも。総合的(な問題)」と語っている。

船井電機の液晶テレビは主に低中価格帯で、価格競争が激しく値引き合戦が起こりやすい分野だ。加えて、以前は、熟練作業員の強みを活かせたアナログ家電が市場の主流であったが、21世紀に入ってからは、市場がデジタル家電へと移行し始めたため、組み立て作業が単純化し、熟練作業という強みを活かせなくなっている。

これは、船井電機に限らず、多くの日本のメーカーが経験していることだろう。品質の良いものを安く提供するノウハウは、昔は手作業によって生み出されていたが、今では、デジタル化によりどの企業でもどの国でも、低価格でそれなりのモノを造れるようになっている。こういった状況では、なかなか差が付けにくいだろう。

過去5年間の連結経営成績の推移


それでは、船井電機の経営成績を連結ベースでみていこう。以下に示すのは、過去5年間の売上高、経常利益、当期純利益の推移をまとめた表だ。

funai14pl.png

これを見ると、2010年3月期から2013年3月期まで、売上高が転がるように減少しているのがわかる。わずか4期間の間に売上高が約60%になっているのであるから、船井電機が厳しい経営環境にさらされていたのがわかる。

経常利益に関しては、直近2年間が赤字だ。また、当期純利益に関しては直近4年間が赤字となっている。なお、2014年3月期の決算短信を見ると、2013年度も2014年度も営業利益の段階で赤字だ。

  • 13年度の営業利益=-5,273百万円
  • 14年度の営業利益=-5,465百万円


前期も当期も経常損失は営業損失よりも少なくなっているが、これは、13年度に4,691百万円、14年度に3,477百万円の為替差益が営業外収益に計上されていることが主な理由だ。最近の急激な円安が、船井電機を助ける形になったのだろう。

しかし、当期純損失は、前期も当期も経常利益と比較すると大幅に増えている。

これについては、前期は生産モデルの見直し等により将来の使用度合いが低下したと判断した特許に関する通常実施権等の評価を大幅に引き下げた際に発生した減損損失1,614百万円が主な原因だ。

また、当期は、減損損失266百万円に加えて、事業構造改善費用1,281百万円、アドバイザリー費用1,165百万円が発生している。前者はLED事業の縮小、後者は「Koninklijke Philips N.V.」のライフスタイル・エンターテイメント事業を承継するために外部のアドバイザーに支払った報酬や手数料ということだ。

国内と北米での営業損失が大きい


船井電機は、営業損益段階で赤字なので、そのあたりについても詳しくみてみよう。

船井電機の事業活動は、日本、北米、アジア、欧州だ。その中でも北米での売上高が特に大きく、当期は169,698百万円を計上している。しかし、この稼ぎ頭ともいうべき北米での営業損失が3,786百万円もあるのだ。そのため、北米での立ち回り方が、来期以降の船井電機の経営成績に重要な影響を与えることは必至だ。

製品種別で見ると、映像機器の売上が183,108百万円と大部分を占めているので、こちらも、北米での液晶テレビの売れ行きが、今後の経営成績に大きくかかわってくるだろう。

他に情報機器も取り扱っており、売上高は前期比で57.8%増となっているのだが、いかんせん売上高が18,876百万円と映像機器の1割程度しかないため、船井電機全体の売上高への貢献度が低い。それでも、こういった成長産業を抱えているのは、今後の同社にとって強みとなるはずだ。


営業キャッシュフローの推移


最後に営業キャッシュフローの推移も見ておこう。

funai14cs.png

営業キャッシュフローは、簡単にいうと事業から獲得したキャッシュ(現金及び現金同等物)がどの程度あったかを示す指標だ。健全な会社であれば、営業キャッシュフローの金額はプラスとなるのだが、船井電機の場合は最近の5年間で3年がマイナスとなっているので、お世辞にも安定した企業とは言えない。

しかし、当期は前期よりも大幅に営業キャッシュフローが改善しているので、来期はプラスに転じるかもしれない。

営業キャッシュフローがマイナスの状態だと、借金をして運転資金を賄わなければならなくなるので、この状態は早く解消しなければならない。


昭和の古き良き企業を代表する船井電機には、今度も存続してもらいたいと思っているのは、筆者だけではないはずだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントの投稿

非公開コメント

PAGETOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。