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6月10日付の朝日新聞に「出版不況出口見えず」という記事が載っていた。どうやら出版業界の総売上が9年連続で減少し、2013年は前年比3.4%減の1兆7711億円だったようだ。

出版業界の売上の最盛期は1996年で、2013年はその時と比較すると65%ほどの水準に売上が落ち込んでいる。ここまで売上が落ち込んでいる理由は何なのか、記事を興味深く読むことにした。

ネット利用と読書しない学生の増加が原因


出版業界の売上が減少傾向にある原因については、インターネット利用が増加していることが指摘されている。

朝日新聞の記事によるとNHK放送文化研究所の調べでは、2005年はインターネットと「雑誌、マンガ、本」の平均利用時間は1日14分でほぼ同じだった。ところが、2010年になるとインターネットの利用時間が延びて23分となり、「雑誌、マンガ、本」は13分に減っている。

また、今の大学生のうち40%超が読書時間が「ゼロ」ということだ。

記事の内容を素直に受け入れるのであれば、インターネットと学生の本離れが、出版業界の低迷の原因と考えられる。しかし、本当にそうなのだろうか。

「雑誌、マンガ、本」の平均利用時間が減ったと言っても、14分から13分と1分しか短くなっていない。また、2000年以前と比較して、現在は大学進学率が大幅に上昇していることを考えると、本を読む習慣のない学生まで大学に進学できるようになったと考えられる。

インターネットの利用時間の増加と学生の本離れが、出版不況の大きな原因だと言えないと思うのだが。


大人はもっと読書をしない


学生が読書をしないと言うが、大人も読書をしなくなっているのではないだろうか?

書店に行っても、優しく解説された本や雑誌ばかりが目につく。新刊本のコーナーに行っても、専門性の高い本よりタイトルだけインパクトがあり、中身がスカスカといったものをよく見かけるようになったと思うのだが。

そういった本ばかりなら、わざわざ買わなくても、ネットで検索すれば本に載っている情報くらいはすぐに見つけることができる。書籍とネットで違いを出そうとするのなら、少々難しい内容のものを出版していく必要があるだろう。

ただ、そういった本を手に取って読む大人が、どれくらいいるだろうか。わかりやすさや簡単さばかりを追求するあまり、本を読み込めなくなった大人が多くなっているように筆者は感じる。簡単な本ばかりが書店に並んでいると、自分の脳に刺激を与えるための読書ができなくなる。

人間は、少しずつでも、今よりも成長することを望む生き物だ。しかし、簡単な本ばかりが書店に並んでいたのでは、自分を成長させる読書に限界がある。当然、限界に達した消費者は、それ以上本を読まなくなるだろう。

書籍や雑誌の売上が伸びない状況にしたのは、わかりやすい簡単な本ばかりを発行してきた出版業界だと思うべきだ。


新装版にして値上げするテクニック


朝日新聞の記事によると、雑誌の総売上部数の減少も、出版不況の大きな原因の一つだということだ。1995年には39億部だった雑誌の出版部数が、2013年は18億部と半分以下に落ち込んでいる。

また、書店が出版社に本を返す返品率の割合も40%近くあり、これも出版社にとっては打撃となっている。1980年代の雑誌の返品率は20%台前半だったのが、2010年頃から35%を超えている。

返品を減らすために返品ができない契約にし、その代り書店に多くの利益が還元される「買い切り制」への移行を目指す動きも一部にはあるようだが、損失を出版社が被るか書店が被るかの違いでしかなく、本や雑誌が今よりも売れるようになるかは疑問だ。


筆者には、出版社に対しておかしいのではないかと思っていることがある。

それは、出版から何十年も経った文庫を新装版として再販し、値段を釣り上げる行為だ。出版当時は300ページほどだった小説が、新装版として再販される場合は、文字が大きくなりページ数が350ページに増えていたりする。そして、ページ数が増えた分だけ、以前の価格よりも高くなっているのだ。

作家が加筆修正した作品を新装版として再販し、値段も高くなるのなら理解できるが、すでに作家が亡くなっている本を新装版として出版し、価格を上げるのはいかがなものか。新装版となっている作品は、人気のあるものが多く、古本屋に行けば安くで手に入れることができる。

そういった状況にある作品は、反対に安くで販売しても良いのではないだろうか。他の業界なら、古いものほど安く、流通量の多いものほど安くなるのだから、出版社も同じようにすべきだと筆者は考える。

書籍に対しては、軽減税率を適用して消費税の負担を少なくすべきだという意見があるが、出版業界が新装版というテクニックを使っている限りは、消費者が安くで書籍を購入できるようにはならないだろう。


ネット利用が増えたこと。学生が本を読まなくなったこと。

こういった原因を作ったのは、実は出版業界自身なのではないかと思うのだが、どうだろうか。
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