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7月2日に日本商工会議所が、第1回の「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」の調査結果を公表したことが、新聞各紙で報じられた。

この調査結果を見ると、消費増税分をすべて価格に転嫁できている事業者は62.7%で、一部を価格に転嫁できている事業者は26.8%となっている。約9割の事業者が消費増税分を価格に転嫁できているということだから、事業者が増税分を負担した割合はかなり低いと言える。

しかし、約1割の事業者が増税分を価格に転嫁できておらず、その多くが個人事業などの小規模事業であることが気になる。

川下ほど増税分を転嫁できていない


1997年の消費税引き上げ時は、38.6%の事業者が、増税分を価格に転嫁できなかったと回答しているので、今回は、以前よりも価格に転嫁できている割合が高い。

さすがに2回目の消費増税なので、前回の教訓を生かした事業者も多かったのだろう。また、政府が、転嫁拒否を禁止する消費税転嫁対策特別措置法に基づき、事業者を監視していたことも影響を与えたようだ。

全体としては、良い結果になっているが、川下に行くほど、すなわち一般消費者と取引している事業者ほど、価格を転嫁できていない割合が高いのが気になる。企業間取引(BtoB事業者)では、74.8%が「転嫁できている」と回答したのに対して、一般消費者と取引しているBtoC事業者では、55.8%しか「転嫁できている」と回答していないのだ。


商品を購入したりサービスの提供を受けたりするのは最終消費者だから、この段階で消費税引き上げ後に節約志向が働けば、その影響は小売業や飲食店に出てくるのは当然だ。そこで、小売店や飲食店は、卸やメーカーに価格据え置きを要求することになるが、今回の増税では、政府がそれを許さなかったので、消費税増税による売上減少を川下事業者が負担する形となった。

政府の価格拒否の監視は、元請け企業が下請け事業者を買い叩くことを取り締まってはいたが、どうやら、一般消費者に近い事業者は盲点になっていたようだ。


小規模事業者は過半数が価格据え置き


売上規模別にどの程度消費増税分を価格に転嫁できているかを見てみよう。

売上高1億円超の事業者では、69.8%が「全ての商品・サービスの価格を一律で3%引き上げている」と回答している。これに対して、売上高1千万円以下の事業者では、34.5%しか一律3%の引き上げをできていない。

反対に「全ての商品・サービスの価格を据え置いている」と回答した事業者は、売上高1億円超の事業者では5.7%にとどまっているが、売上高1千万円以下の事業者では27.5%にのぼる。「全ての商品・サービスを一律3%引き上げられないので、一部価格を据え置いている」と回答している売上高1千万円以下の事業者も24.7%の割合なので、全てまたは一部の価格を据え置いている割合は52.2%にもなるのだ。また、売上高1千万円超~5千万円以下の事業者では、全てまたは一部の価格を据え置いている割合は33.3%となっている。

このアンケートの総数は、3,126件であり、うち売上高5千万円以下の事業者が2,404件と大部分を占めている。回答事業者全体で、全てまたは一部の価格を据え置いている割合は36.9%だが、その多くが小規模事業者であることを考えると、消費税引き上げは弱者の負担を重くしたと言えるだろう。

また、現在、政府は、法人税の実効税率を20%台まで引き下げ、それで減る税収を外形標準課税で穴埋めしようとしている。約7割の企業が法人税を納めていない赤字企業であることから、利益とは関係なく課税される外形標準課税の導入は、小規模事業者にとって大きな負担となるだろう。

共産党が、弱い者いじめの税制改正だと言っている意味がよくわかる。


消費税の複数税率導入に反対


上のアンケート結果の公表と同じ日に「消費税の複数税率導入に反対する意見」も公表されている。こちらについては、報道各社で、採り上げられていないように思うが、筆者は重要性の高い内容だと考えている。

意見を表明しているのは、日本経済団体連合会、日本商工会議所など9団体だ。

公明党が、消費税10%引き上げ時に軽減税率導入を主張しているが、9団体は以下の理由から反対している。
  1. 複数税率は社会保障制度の持続可能性を損なう
  2. 対象品目の線引きが不明確で、国民・事業者に大きな混乱を招く
  3. 新たに区分経理の事務が発生し、大きく事務負担が増加する


筆者も9団体と同じく複数税率の導入には反対だ。その大きな理由は事務負担の増加だ。

「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」を読むとわかるのだが、消費税の経理処理について、「外部には依頼せず自ら処理している」事業者が全体の16.6%存在している。また、消費税の集計については、「帳簿等に手書きで記入している」と回答している事業者が39.0%もあるのだ。

このような消費税の経理業務の実態を見ると、複数税率を導入することが、多くの事業者、それも個人事業などの小規模事業者に多大な事務負担を強いることが、よくわかるだろう。


軽減税率を導入するのではなく、現在の消費税率8%を維持して、贅沢品などに消費税以外の税を課す方が、事務処理も煩雑にならず、国民の理解も得られると思うのだが、どうだろうか。
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