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8月19日付の朝日新聞で、近畿の地方銀行が、事業者の個人保証を解除し始めていると報じられた。この動きは、中小企業への貸し出しに見られるもので、保証なしで融資するよう促す「経営者保証に関するガイドライン(指針)」が今年できたことが理由のようだ。

倒産しても再起しやすくなった


当たり前のことだが、企業が銀行からの借入を返済できなかった場合、個人保証をしていると、保証人が企業に変わって借金を返さなければならない。

中小企業の場合だと、保証人の多くは社長ということになる。したがって、社長は、倒産して職を失うと同時に自身の個人的な財産も銀行に奪われてしまう。また、社長の親族が保証人となっている場合もあり、中小企業の倒産は、親族間のもめごとの原因ともなりかねないのだ。

仮に個人保証がなければ、倒産した会社の社長は職を失うだけで済むので、再出発がしやすい。「経営者保証に関するガイドライン(指針)」も、倒産した企業の社長の再出発をしやすくしたものであり、また、再起しやすい環境をつくることで、起業を増やす効果も期待できる。


株式会社制度に個人保証はなじまない


日本では、中小企業への融資の際、経営者の個人保証を条件とすることが多い。

しかし、株式会社制度の成り立ちを考えると、本来、社長から個人保証をとるのはなじまない。

株式会社は、会社財産を担保として様々な活動を行う組織だ。モノを造ったり販売したりといった活動の源になるのは、会社財産なのだ。そして、株式会社が、経営活動のために必要とする資金を借り入れる場合、会社財産を担保に金融機関から借りることが想定されていた。

だから、株式会社は物的会社と呼ばれているのだ。

金融機関が株式会社に貸し出しを行う場合、担保となるのは会社財産だけだ。そのため、金融機関は、その会社の事業内容を慎重に調べ、将来性や安全性に関する状況を把握し、問題がないと判断した場合に貸し出しを行うのが、あるべき姿なのだ。

ところが、日本では長らくこのような貸し出しが行われることはまれで、中小企業の場合は、必ずと言っていいほど、経営者の個人財産に担保が付けられていた。これでは、株式会社とは名ばかりで、実質は人的会社と同じだ。


以前は、株式会社の最低資本金は1,000万円と定められていたが、会社法の改正により最低資本金は廃止され、1円からでも株式会社を設立できるようになった。これは、株式会社の現状に合わせて法律を改正したものであり、本来、想定されていた物的会社としての株式会社を否定したものなのだ。


最低資本金制度は復活するか?


中小企業融資の際の個人保証を解除する動きが加速し始めると、最低資本金制度が復活するかもしれない。

資金を貸し出す銀行の立場からすれば、個人保証を付けないのなら、せめて一定以上の会社財産が社内に留保されていることを望むだろう。そう考えれば、現在のように資本金1円で設立した株式会社にそう簡単に銀行は融資をしないだろう。


また、組織形態で事業を始めるのなら、ある程度の資金を用意する必要があると筆者は考える。

資金を持たずに人を雇って働かそうなんて虫のよい話が通用すると思うのだろうか。もちろん、資金を用意せずに株式会社を設立するのは、とりあえず会社という形を整えたいだけで、事実上は個人事業と同じだ。そのような個人事業者が法人成りすることに社会的な利点は見当たらない。


銀行が、中小企業の個人保証を解除する動きが進めば、企業は一定以上の会社財産を確保する努力を迫られるだろう。

そうなれば、低額の資本金で株式会社を設立する動きが抑制され、株式会社本来の物的会社という性格が再び強調され始めると思うのだが、どうだろうか。
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