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9月23日の朝日新聞に「空飛ぶ節税航空機リース」という見出しが躍った。

航空機リースが節税に利用されるケースが最近増えているようだ。航空会社は、航空機を購入するのに多額の支出が必要となるため、リースを利用する場合が多い。この航空機リースを利用すれば、航空会社にとってはまとまった資金を一時に用意しなくても良いといった利点があるのは見当がつくだろうが、貸手にとっては税金を将来に繰延べる効果があるといったメリットがある。

レバレッジドリースの仕組みを簡単に解説


航空会社に航空機をリースすると、なぜ税金の繰延効果があるのか?

航空リースでよく利用されるのはレバレッジドリースという手法だ。レバレッジドリースは、リース期間よりもリース物件の耐用年数(使用期間)を短くすることで、毎年入ってくるリース料よりも、リース期間の前半はリース物件の減価償却費(経費)が多く計上され、リース期間の後半は減価償却費が少なく計上されるというものだ。

詳しい内容については以下のサイトで解説されているが、会計学の知識がない人には難解だろう。

そこで、筆者がかなり簡略化してレバレッジドリースの要点を解説する。

ここで問題となるのはリース物件の貸手だ。貸手は航空機を購入して航空会社にリースする。毎年のリース料は150、リース期間は10年としよう。

航空機の取得原価(購入代金)は1,000で、耐用年数は5年とする。したがって、1年目から5年目までは毎年200の減価償却費が計上され、6年目から10年目までの減価償却費はゼロとなる。

法人税率は30%とする。

これを簡単な損益計算書で表すと以下の表のようになる。

lease.png

1年目から5年目までは、減価償却費が受取リース料を上回っているので、毎年50の赤字が計上される。税金は赤字の場合還付されるものとすると、毎年15ずつ税金の還付を受けれることになる。

6年目以降は、利益が150ずつ計上されるので、毎年納める税金は45だ。

10年間の合計は利益が500、税金が150となり、最終的に350の利益を得ることができる。


これだけを見ると、特に問題があるようには思えないが、貸手がリースの他に本業を持っていた場合、話が変わってくる。例えば、上記の会社が1年目から5年目までは50の利益を計上し、6年目から10年目までは150の赤字だったとしよう。そうすると、本業の利益とリースの利益の合計は以下のようになる。

lease2.png

これを見ると、1年目から10年目まで利益が一切計上されないので、税金を1円も納める必要がない。

だから、レバレッジドリースは脱法行為なのではないかという指摘があるわけだ。


レバレッジドリースの効果は税金の繰延


しかし、レバレッジドリースでなくても納税額には変化はない。

仮に航空機の耐用年数をリース期間と同じ10年にした場合、毎年の減価償却費は100となるので、受取リース料150から差し引くと利益は50となる。

これを先ほどと同じ本業の利益と合算したものが下の表だ。

lease3.png

表を見ると、1年目から5年目までは税金を30納めなければならないが、6年目から10年目までは30の還付を受けることができる。そのため10年間の合計で見ると、税額はゼロとなる。

したがって、耐用年数を5年にした場合も10年にした場合も納税額の総額には影響を与えないのだ。


では、税額が同じなのになぜレバレッジドリースを利用するのだろうか。

それは、一言で言うと課税の繰り延べとなる。

レバレッジドリースを利用しなかった場合、毎年50の利益が計上されるので、納めるべき税金は毎年15となる。

しかし、リースの対象となる航空機を購入した年は支出が多いので、リース期間の前半で、できるだけ多くの投下資本を回収したい。そうすると、リース期間の前半での課税額を少なくし、後半に多く納めるようにするにはレバレッジドリースが好都合なのだ。

納税額に差はなかったとしても、リース期間の前半に税金を多く納めていたのでは資金ショートの危険がある。だから、キャッシュ・フローを悪化させないためにレバレッジドリースを利用するわけだ。


アベノミクスで節税の期待


しかし、最近、レバレッジドリースの利用者が増えているのは、こうした課税の繰り延べの効果を期待したものではなく、節税を目的としているからだ。

これは安倍政権が実行しているアベノミクスと関係がある。

現政権は、将来的に法人税の実効税率を現在の30%台から20%台へ引き下げようとしている。もしも、将来の税率が20%台に下がるのなら、利益を税率が下がる年度まで繰延べた方が税金が少なくなるので有利だ。

だから、レバレッジドリースを利用して、利益を将来に繰延べておこうという動きが多くみられるのだ。


レバレッジドリースについては、規制が必要だという意見がある。

しうし、今は将来の税率引き下げを睨んだレバレッジドリースの利用ではあるが、そうでない場合は、企業の資金繰りの問題として大目に見ても良いと思うのだがどうだろうか。
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