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11月3日に政府、与党が2014年度税制改正で、消費税の「簡易課税制度」の見直しを検討していることがわかった。この見直しでは、みなし仕入率を現在よりも低くすることで、いわゆる事業者の「益税」を減らすことが狙いだ。

消費税については、2014年から8%に税率が上がることになっているが、それ以外にも国民にわかりにくいところで税収増を図っていることがうかがえる。

消費税の仕組みを理解しておく


今回の簡易課税制度の見直しについては、多くの方がよくわかっていないことだろう。これを理解するためには、通常の消費税の課税の仕組みを知っておく必要がある。

まず、消費税というのは、我々消費者が最終的に負担することになる。これは、誰もが知っていることだ。しかし、我々が買物をした時に支払った消費税が、どのように税務署に納付されているのかを知っている人は少ない。

仮にあなたがB社が営業しているスーパーで下着を1,000円で購入したとしよう。その場合、現在の税率5%で計算すると、レジで支払った消費税は50円となる。ここで、多くの人が、B社が営業するスーパーが税務署に50円の消費税を支払っていると勘違いしている。
例えば、B社が、下着をA社から600円で仕入れてたとしたら、仕入時に30円の消費税を支払っていることになる。この場合、B社が税務署に納付する消費税は、消費者から預かった消費税50円からA社に支払った消費税30円を差し引いた20円だけとなる。

さらにA社が下着を甲社から400円で仕入れていた場合、仕入時に支払った消費税が20円となるので、A社は税務署にB社から預かった消費税30円と甲社に支払った消費税20円の差額10円を納めることになる。また、甲社の場合は、自社生産した下着をA社に販売していたのなら、A社から預かった消費税20円を税務署に納めることになる。

これら一連の取引を図にすると以下のようになる。
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各社が納めた消費税は、甲社=20円、A社=10円、B社=20円で、合計50円となる。これは、消費者が下着を購入した時の代金1,000円に消費税率5%を乗じた金額50円と一致する。

中小零細企業にとって消費税の計算は事務負担が大きい


上の説明で、消費税の仕組みを理解できたことと思う。
しかし、今回の簡易課税制度の見直しを理解するためには、ここからが本番となる。

上の説明で見たとおり、消費税の計算は非常に手間がかかる。大きなスーパーやデパートであれば、商品に貼付されているバーコードをレジに通せば自動的に税額を計算してくれるし、経理部が設けられているので、売り場のレジ係りが消費税をわざわざ計算することはしない。
しかし、個人経営の八百屋や精肉店となるとそうはいかない。閉店後、店主がひとつひとつ手作業で売上と仕入を帳簿に記入していかなければならないからだ。

だから、零細企業や個人事業主からも消費税を徴収しようとなると、実行可能性の高い計算方法が必要となる。そこで採用されたのが簡易課税制度だ。

簡易課税制度は、業種別に見なし仕入率が決まっている。例えば、先の例でいうと、B社は最終消費者に商品を販売しているので小売業ということになり、みなし仕入率は80%とされる。仮にB社が簡易課税制度を利用して消費税を納めていた場合、1,000円の売上に対して仕入代金は800円だったとみなすことになる。すると、B社が税務署に納める消費税は以下のようになる。

(1,000円-800円)×5%=10円

本則課税の時には、B社が納める消費税は20円なのに簡易課税制度を利用すると10円で済む。差額10円は、B社の財布に入るのだ。これが、いわゆる益税だ。
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今回の簡易課税制度の見直しというのは、この益税部分を少しでも減らそうというのが狙いとなっているわけだ。

消費税の増税というと、税率にばかり目が行くが、実はこういったわかりにくいところでも事実上の増税が行われていることになる。

もちろん、益税に関しては、本来なら国庫に納まるはずの消費税が事業主の財布に入ってしまっているのだから問題だと言える。しかし、なぜ今頃になって見直しを行ったのだろうか。これについては、消費税率の引き上げを決定する前に簡易課税の見直しを検討することを公表すると、税率引き上げ前に益税対策を先にするべきだという批判が出てくるから、それを避けたのではないかと思ってしまう。しかし、実は昨年8月に成立した消費税増税法に簡易課税制度の見直しが、しっかりと明記されていたのだ。

わかりにくい消費税の増税は何度も行われている


今回の簡易課税制度の見直しだけでなく、過去に何度も消費税についてはわかりにくい改正が行われ事実上の増税が行われている。

例えば、簡易課税制度に関して言えば、以前は適用できる事業者は税抜き売上が2億円以下であったが、2004年度からは5千万円に引き下げられている。つまり、売上5千万円から2億円の範囲にあった事業者が、これ以降簡易課税を選択できなくなったため、益税部分が国庫に納付されるようになったのだ。

また、同じ時期から免税事業者の範囲も税抜き売上3,000万円から1,000万円に引き下げられているので、これも事実上の増税と言える。
ここで免税事業者についてご存じない方もいるだろうから簡単に説明しておく。

免税事業者というのは簡単にいうと、消費税の納付をしなくてもいい事業者のことだ。簡易課税制度と同じように中小零細企業や個人事業主の事務処理の手間を考慮して設けられている制度だ。

免税事業者は最終消費者から預かった消費税を税務署に納める必要はない。しかし、商品の仕入の際に支払った消費税については自己負担となる。先の例のB社の場合、1,000円の売上に対して消費者から50円の消費税を受け取っているが、これを税務署に納付する必要はない。その代わり、A社に支払った消費税30円は全額B社が負担することになる。
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この免税事業者に対しては、消費者が支払った消費税が、事業者の財布に入るのはけしからんという批判があるが、実はそのようなことはない。それは、課税事業者の場合と免税事業者の場合で利益率を比較するとすぐにわかる。先の例のB社の利益率を課税事業者を選択した場合と免税事業者を選択した場合で比較してみよう。

  • 課税事業者の場合の利益率=(1,000円-600円)/1,000円×100%=40%
  • 免税事業者の場合の利益率=(1,050円-630円)/1,050円×100%=40%

これを見ればわかるように課税事業者の場合も免税事業者の場合も利益率は同じ40%だ。免税事業者の方が利益額という点では多くなるが、それは仕入にかかった消費税を自己負担しているので、その分についても利益を上乗せした結果であり、消費者から支払った消費税部分をネコババしているということではない。

今回の簡易課税制度の見直しについては、小規模事業者にとっては痛い支出となりそうだが致し方ないだろう。それよりも、益税の問題は以前からわかっていたはずなのにこれまでみなし仕入率の見直しを検討しなかった政府に問題があると思う。

固定資産をほとんど有していないサービス業については、所得税や法人税の申告書を見れば、概算で仕入率を計算できるはずだ。その概算の仕入率とみなし仕入率との間に以前から大きな差があったのなら、それを放置したことで、今まで得られたであろう消費税が失われたことになる。

小規模事業者は税法にしたがって納税していたのだから文句を言われる筋合いのものではないし、今さら過去にさかのぼって益税の納付を求めることもできない。今後は、課税の公平性について、今よりも政府に意識して欲しいものだ。
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