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2013年9月期の決算発表が続々と行われている。わが国産業をけん引する自動車メーカー各社の決算短信もそろそろ出揃ってきたところだ。
11月7日付の朝日新聞朝刊では、増収となった自動車メーカー8社の業績が載っていたので、このブログでも決算短信から自動車メーカー9社の業績を分析してみる。

業績の回復は円安の影響が大


以下が、国内自動車メーカー9社の損益計算書の概要だ。並び順は売上高の多い順としている。各項目の「%」は増減率を表している。

car13hanki.gif

売上を見ればわかるが9社とも前年同期と比較して増収となっている。最も増加率の高かったのが富士重工業の25.3%増、最も増加率の低かったのがダイハツの4.3%増だ。7社が10%を超える増収となっているので、明らかに業績が上向いていることがわかる。

本業のもうけを表す営業利益は、日産とダイハツが前年よりも低くなっているが、それ以外では大幅な伸びとなっている。ちなみにマツダの増減率が「-」となっているが、これは決算短信でそうなっていたからこのように表示している。マツダの前年同期の営業利益は18億円だったので、当期の営業利益360億円は大幅な伸びだ。

日本の自動車メーカーの業績の回復理由は、多くの人がわかっているように為替相場が円安に動いていることによる。朝日新聞には、各社の為替効果という項目があり、トヨタの5,400億円が最も大きな為替効果となっている。朝日新聞がいう為替効果に該当する数値を決算短信に表示しているのは、トヨタだけのようだ。それ以外のメーカーでは、営業利益の増加理由の一因として為替相場が円安に動いたことが記載されている。

トヨタの営業利益1.2兆円のうち45%が為替相場の影響による増益ということだから、諸手を挙げて喜べる結果とは言えそうにない。しかし、トヨタの決算短信によれば原価改善努力によって1,400億円営業利益を増加させていることが記載されているので、社内の改革が進んでいることがうかがえる。

各社の増収増益の要因


トヨタ以外の各社の状況も見ていこう。

ホンダ


ホンダの場合は、四輪と二輪の売上高が好調なことと為替相場の影響で売上が伸びたことで、営業利益も増加している。なお、前年同期の売上高営業利益率は5.8%、当期は6.2%となっている。
販売台数は二輪が6.1%、四輪が3.7%、前年同期よりも増えている。

日産


日産は、大幅な増収にも関わらず、営業利益が前年同期比で2.6%の減益となっている。これは、為替変動による増益を上回る製造費用と販売費の増加が原因ということだ。

前年同期の売上高営業利益率が5.5%、当期が4.6%なので、大幅に落ちているのがわかる。売上原価が前年同期よりも増えているが、これは売上の増加に比例しているので無視できる。ちなみに前期の売上原価率は82.8%、当期は82.4%なので、むしろ改善されていると言える。

営業費用の内訳を見て気になったのは、貸倒引当金繰入額が前年は無視できるほどしかなかったのに当期は146億円も計上されていることだ。重要な取引先の業績悪化などで債権の回収が難しくなったのだろうか。
他にも製品保証引当金繰入額が153億円増加している。これはリコールの影響なのかもしれない。

スズキ


スズキは、海外売上高が前年同期に比べ1,542億円(21.7%)増加したことが好業績の要因だ。しかし、国内売上高は、OEM売上の減少等により前年同期に比べ108億円(2.1%)減少している。
スズキの好業績は、為替相場の影響が大きいと言える。

富士重工業


富士重工業は、国内自動車販売、海外自動車販売が伸びていることが、好業績の理由だ。
国内販売台数は21.3%増、海外販売台数は10.4%増。
富士重工業に対しては、為替相場のおかげで増収増益となっていると言うのは失礼なことだ。

なお、当社の好業績を支えている車種は、インプレッサ、フォレスター、6月に発売した「SUBARU XV HYBRID」ということだ。

三菱自動車


三菱自動車は、為替相場の好転と前年同期よりも4%販売台数が増加したことが増収増益の要因となっている。

損益計算書の営業費用に目を通すと全体的に大きな変動はなかったが、広告宣伝費だけは大幅に増えている。前年同期は318億円であったのが、当期は517億円と62.5%も増加している。販売台数の増加は、広告宣伝効果によるものなのだろう。

ダイハツ


ダイハツは、国内売上高が5.4%減少しているのに対して、海外売上高が33.6%増加している。営業利益も国内が30.0%の減少に対して、海外が62.9%の増加となっている。為替相場の好転が増収の理由と言えそうだ。

日野


日野は、復興需要の継続からトラックとバスの売上が好調だ。前年同期と比較して国内向けの販売台数は9.2%の増加となっている。また、海外では、タイなどのアジアでの販売が好調で販売台数は0.4%の増加となっている。他には、トヨタ向けの販売が好調で、主に「ランドクルーザープラド」の売上が増加している。

以上の結果から販売台数は、前年同期と比較して7.9%増加しているということだ。損益計算書の各項目を見ると、概ね売上高の増加に比例しているようだ。

マツダ


営業利益の伸び率が最も大きかったマツダは、為替相場の好転の影響が増益につながっているようだが、国内売上が15.5%伸びているのも増収増益に寄与していると言える。特にマツダは6,158億円の売上高のうち5,073億円が国内売上なので、全社的な影響が大きいと言える。

ただ、国内販売台数は、前年同期とほぼ同じ50千台ということだ。

自動車メーカー各社の好業績で賃上げの期待が膨らむが・・・


国内自動車メーカー各社の好業績から、賃上げの期待が膨らむが、それはまだ先になりそうだ。

下の表は、トヨタと日産の国内生産台数と国内販売台数をまとめたもの。

car13hanki2.gif

この表を見ればわかるように国内の生産台数は前年同期よりも減少している。特に日産は10%も減っているのだ。

賃上げや雇用に良い影響が出るためには、国内生産台数が増える必要があるだろう。しかし、大手自動車メーカーでの生産台数が減っている以上は、賃上げは難しそうだ。ベースアップが、来春闘で5年ぶりに統一要求されるようだが、まだ時期的に早い。特にトヨタは、国内販売台数が前年同期よりも減少しているわけだから、賃上げは期待しにくい。

多くの自動車メーカーが、円安が主要因で増益となっている事を考えると、賃上げにはもう少し時間がかかるとみた方が良いだろう。

なお、自動車メーカー各社の決算短信は、それぞれのホームページでダウンロードが可能だ。
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