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11月23日付の読売新聞で、政府・与党が大企業の支出する交際費を一部非課税とすることが報じられた。これまで大企業の交際費は、税務上1円も経費(損金)として認められなかったので、交際費の支出による節税効果はなかった。ここに来て大企業に交際費の損金算入を認めた理由は、消費増税による消費の縮小を抑えることに加え、景気回復を狙ったもののようだ。

なぜ大企業の交際費は経費として認められないのか


そもそも大企業が支出する交際費が、なぜ税務上の経費、つまり損金として認められないのかを知っておく必要がある。

交際費は、事業運営のために必要な支出だ。だからこそ、企業は交際費を使うわけだ。しかし、本来、企業というものは自社の商品やサービスの質の向上を追求したり、今よりも低価格で消費者に自社製品を販売することに努力しなければならない。取引先を高級料亭で御馳走したり、クラブで酒を飲んだりしてもてなす行為によって、売上拡大や利益の増加を狙うのは、本来の企業目的から外れている。

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また、飲み食いの支出というのは冗費にあたるため、これを税務上必要経費として認め、税額を減らすというのは、課税の公平性の観点から疑問がある。そんなことに支出するなら、万が一に備えて資本流出を抑えた方が財務の健全性の観点からも好ましい。

だから、税務上は、交際費を必要経費として認めないのが原則なのだ。

しかし、個人事業者や中小企業は、大企業と真正面から競争すると負けてしまう。そのため、大企業の交際費は必要経費とは認めないが、個人や中小企業は交際費を必要経費として認めているのだ。ただ、中小企業の場合でも、現在は年間800万円までしか交際費の損金算入が認められていない。

政府・与党としては、こういった建前よりも消費増税による消費の減少と景気悪化の方がおそろしいはずだ。この時期に大企業が支出する交際費も損金算入できるようにしたのは、消費増税による消費の減少を大企業の交際費の支出で補おうとしているのだろう。

ただ、大企業の交際費の損金算入を認めるとは言っても全額は認められないだろう。現在、中小企業に認められている800万円の範囲になるのではないだろうか。

企業の交際費支出額の推移


国税庁の会社標本調査結果によると、2011年度の法人企業の交際費の支出額は約2兆8千億円だ。バブル崩壊後から交際費の支出額が減りつつあると言われているが、どのように推移しているのか知りたくて、1991年から2011年までの交際費支出額をグラフにしてみた。

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1991年には6兆円を超えていた交際費支出額が、2013年には3兆円以下となっているのであるから、約20年の間に半分以下になったわけだ。

なお、上のグラフの損金不算入割合(赤い線)というのは、法人企業が必要経費として認められる額を超えて交際費を支出している場合の当該超過額の割合のことだ。1991年には交際費の損金不算入割合が60%を超えていたので、この頃は、必要経費として認められる額の2倍以上を交際費として支出していたことになる。それが、2011年には39%となっているので、最近は、節税効果がない接待は以前よりも慎む傾向にあるといえる。

次に資本金1億円未満の中小企業と1億円以上の大企業の2007年から2011年までの交際費支出額を見てみよう。なお、連結法人とはグループ会社全体で納税をしている企業グループを意味する。数が少ないので資本金1億円以上の大企業に含めてグラフは作成している。

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このグラフを見てわかるのは、交際費の支出額は圧倒的に中小企業の方が多いということだ。もちろん中小企業は交際費の一部を必要経費として税務上損金算入できることがその理由と考えられるが、それ以前に大企業よりも中小企業の方が数が多いことが主要因と言える。

2011年度の資本金1億円未満の中小企業が225万社であるのに対して、大企業は2万7千社しかない。大企業の割合は、全企業のたった1%でしかないわけだ。そのような1%の大企業を優遇することで、景気が刺激されるのだろうか?筆者には、どこか間違っているような気がしてならない。

サラリーマンは自腹切れ


筆者は、基本的に接待交際費を必要経費として認めることには反対だ。税法の建前通り、製品開発やサービスの向上のために支出を行うべきだと思う。どうしても、将来の販路拡大のために取引先等を接待しなければならないのなら、社長や従業員が自腹を切ればいいのではないか。

「サラリーマンは、少ない給料でやりくりしているのに個人が接待費を負担できるわけがない」とおっしゃる御仁もいるだろう。しかし、筆者に言わせれば、その給料からは給与所得控除が認められているではないか。年収500万円のサラリーマンなら、約150万円の給与所得控除が認められる。

給与所得控除というのは、早い話がサラリーマンに認められている必要経費ということだ。つまり、年収500万円のサラリーマンの場合、150万円までは仕事のための支出がなかったとしても必要経費として給料から差し引かれているので、その分個人事業者よりも優遇されているわけだ。

スーツ、靴、鞄など仕事に必要なものを購入しても年間150万円も使わないだろう。英会話学校に通い年間50万円程度の授業料がかかったとしても、まだお釣りが来るはずだ。そのお釣りを使って取引先を接待すればいい。それがいやなら、さらに中国語学校に通うなりして、年間150万円の給与所得控除を使い切るようにすべきではないか。

ネオン街で浴びるように酒を飲んで騒ぐよりも、日々の仕事のために役立つ知識や技術を身に付けるために支出した方が有意義だと思うのだが。

それと接待費というのは消費でしかない。使ったその時にしか効果がないと思った方が良い。購買部門の部長を接待しても、人事異動で総務部に移れば、また新たな接待が必要になる。投資とは意味がちがうのだ。

また、接待される方もそんなにうれしいものではない、筆者も何度か接待を受けたことがあるが、一度接待を受けてしまうと、取引先に対して引け目というのか遠慮が出てしまう。だから、会社の立場からは、びしっと断らなければならない取引条件であっても、ついつい取引先の担当者のことを考えて断りにくくなってしまう。

もちろん酒の席とビジネスを完全に分けて付き合える人もいるだろうが、誰しもがそんなに肝が据わっているわけではない。

せっかくバブル崩壊後から少しずつ企業活動が健全化しつつあるのに大企業の交際費の損金算入を認めてしまうと、またおかしな企業環境が出来上がるのではないかと心配になる。

接待交際費に使う資金があるのなら、契約社員として働いている女性を正社員として雇うことに使った方が有意義ではないだろうか。正社員として雇うことで追加で要した人件費は全額損金算入できる。上限のある交際費に使うよりも節税効果は抜群だ。

夜に張り切る従業員より、昼間に黙々と働く従業員の方が企業にとって大きなメリットがあると思うのだが、どうだろうか。
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