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2015年10月から消費税率が10%に引き上げられるのにあわせて、現在、7,200円の軽自動車税を1.5倍の10,800円または2倍の14,400円に引き上げることを政府・与党が検討している。これは、12月5日付の朝日新聞で報じられたことだが、その他の新聞でも記事になっている。

軽自動車税は、軽自動車を保有していると課される税金だ。今回の政府・与党が検討している軽自動車税の増税から、筆者は、今後、政府は、ストックに対する課税、すなわち資産課税を強化していくのではないかと予想している。

自動車取得税は廃止の方向へ


軽自動車税が引き上げられることで、自動車ユーザーの税負担が今よりも増えることになるが、廃止される税もある。それが自動車取得税だ。自動車取得税の廃止も、消費税率が10%に引き上げられる2015年10月からだ。

現在の自動車取得税は、自家用車の場合は基本的に取得価額の5%が課される。それと同時に消費税5%も同時に課されるので、自動車1台の買い物に10%の税金がかかることになる。

これが、2015年10月からは、自動車取得税が廃止され5%税負担が減ることになるが、その時には、消費税率が10%になっているので、自家用車1台購入するときに課される税金は、結局変わらない。高額の買い物をした時にたくさん課税した方が税負担の公平性の観点から望ましいと思うのだが、消費増税とともに自動車取得税を廃止したのでは、自家用車取得の際に納める税額に変化がない。結局、消費増税のしわ寄せは、高額商品ではなく、生活必需品に回ってくるようになってはいないだろうか。

生活必需品には軽減税率を適用すべきと公明党は主張しているが、それよりも、自動車取得税を継続し、消費税率を5%なり8%なりにしておいた方が、金持ちに多くの税金を負担してもらえるはずだ。こちらの方が、税負担の公平性を確保できるのではないか。

自動車取得税の穴埋めに軽自動車税の引き上げ


自動車取得税が廃止されると、地方の税収が減少することになる。総務省によると、地方の税収減は1,900億円となるようだ。当然のことながら、減った税収の穴埋めが必要になる。その候補となるのが、軽自動車税の引き上げだ。

軽自動車税を1.5倍に引き上げると795億円、2倍に引き上げると1,590億円の税収増が見込めるということなので、自動車取得税の廃止分を補うなら2倍の引き上げになりそうだ。加えて、政府・与党は、自動車税と軽自動車税について、購入した初年度には一定額の上乗せをすることも検討している。この上乗せ分も合わせれば、自動車取得税の廃止による地方の税収減を補うことができるのであろう。

これをみると、自動車取得税の廃止というのは名ばかりで、取得時に納める税目が、自動車取得税から自動車税や軽自動車税、そして、消費税に変更されただけということだ。

しかし、自動車取得税と自動車税や軽自動車税は根本的に異なっている。前者がフローに対する課税であるのに対して、後者がストックに対する課税であるという点だ。

フローに対する課税とストックに対する課税


フローに対する課税とストックに対する課税を簡単に説明しておこう。

フローに対する課税とは、ある取引が発生した時に税金を課すことだ。わかりやすいのは消費税だ。消費税は、消費者が店で買い物をする時に納める税金だ。これは、買い物という取引から発生する税金と言える。また、毎月もらう給料から納める所得税もフローに対する課税だ。従業員は会社に対して労働というサービスを提供し、会社はその対価として給料を支払う。これは会社と従業員との間で成立している取引である。

さらにフローに対する課税は、収入時に課税されるものと支出時に課税されるものに分類できる。収入時に対する課税というのは、簡単にいうと儲かった時に課税される税金のことだ。具体的には、所得税、法人税、住民税などがある。一方の支出時に対する課税とは、簡単にいうと買い物時に課されるもので、消費税、不動産取得税、自動車取得税などが該当する。

ストックに対する課税とは、一言で言うと資産課税のことだ。つまり、国民が持つ財産に対して課税される税金だ。具体的にはマイホームを持っていると課される固定資産税、マイカーを持っていると課される自動車税や軽自動車税などが該当する。

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このようにフローとストックの面から税金を分類した場合、どちらの方が、課税の公平性を確保できるであろうか?

これについては、様々な意見があるだろう。たくさん財産を持っている人が税金を多く納めるべきだという意見もあれば、年収が多い人ほど納税額も多くなるべきだという主張も納得できる。資金的な余裕があるから、高額な買い物をするのだから、高級品の購入時に税金を課すのが公平だという意見も一理ある。

ここで筆者の意見を述べさせてもらうと、優先的に課税すべきは、フローのうちの収入が発生した時だ。やはり、一定の収入、すなわち、稼ぎが発生した時にその一部を税金として負担するのが、懐が痛まなくて良いのではないだろうか。最初から税率もわかっているわけだから、いくら稼げばどれだけの税金を納める必要があるのかも事前にわかるわけだから、商売をするにあたっては、その税金分も価格に転嫁して営業することが可能だ。

優先順位の2番目は、フローのうちの支出に対する課税だ。収入に対して課税しておいて支出時にも税金をとるのは、けしからんとは思うが、こちらも買い物をする時に税金をいくら納めなければならないかを事前に計算することができる。商品代金と税額の合計を財布の中身と相談して買うか買わないか決めればよい。

フローに対する課税は、収入時であれ支出時であれ、事前にどの程度の負担になるかがわかる。特に収入時に課税されるのなら、ある程度良しと思える。支出時の課税も、安めの商品を買うなり、欲望を抑えてその場はぐっと我慢することで節税が可能だ。

ところが、ストックに対して課税されると、収入からどれくらいの割合で税金を納めなければならないかという計算がしにくい面がある。常に収入が右肩上がりで増えていくのならいいのだが、勤めている会社の業績が悪化し給料が減ると、マイホームやマイカーから発生する税負担の割合が高まり、さらなる追い打ちをかけてくる。しかも、ある時、政府の決定で税額が増えるようなことが起こると、マイホームやマイカーを手放すこともあり得るだろう。

だから、税金を納める側にすると、ストックに対する課税は将来の生活にマイナスの影響を及ぼす可能性があるので、できることなら少なくしてほしいと思うはずだ。

持っているだけで、お金が消えていくということに納得がいかないのは、筆者だけではないだろう。

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国や自治体は地主を目指している


税金をもらう側から考察すると、納める側とは逆の発想になるのではないだろうか?

マイホームやマイカーに対して課税をするということは、一度、その所有者を特定しておけば、あとは何もしなくても、毎年、一定の税収を得ることができる。景気や消費とは関係なく、税収を事前に計算することが可能なので、これほど楽な税制はない。

反対にフローに対して課税する場合、国民の所得や企業の利益が増えなければ税収も増えない。消費が減った場合も同様だ。景気が悪くなれば税収が減るわけだから、そのためにあれやこれやと対策を考える必要がある。景気対策や失業者対策など、やらなければならないことが増えるから、国や自治体は景気が悪くなると忙しくなる。

だから、安定して税収を確保するためには、資産課税が楽なのだ。

今回の自動車取得税の廃止と軽自動車税の引き上げは、まさにフローに対する課税からストックに対する課税への移行だ。これは深読みすると、国や自治体は、景気を良くして国民の所得を増やし消費を拡大するといった政策で、税収を増やすことをあきらめ始めているのではないだろうか。

まるで、個人が株式を取得して配当収入を得たり、マンションやアパートを貸して家賃収入を得ようとしているのと同じだ。もちろん、こういった手法で収入を増やすことを否定はしない。ただ、モノを持っているだけで価値が上がったり収入が発生したりするということには違和感を感じる。

世の中に価値を生み出すためには常に活動し続ける必要がある。それはストックではなくフローを重視した生き方だ。企業もじっとしていては売上は上がらない。常に動き続けているから収益が発生するのだ。これは、まさにフローを重視した活動だ。

国や自治体もストックから税収を得るのではなく、フローから税収を得る方向で財政再建を目指した方が、良い経済対策を思いつくのではないだろうか?大地主になって、コタツに入ってミカンを食べていたら、地代収入が得られるという発想では、財政再建もできないし、景気も良くならないのではないだろうか。

このまま不景気が長引けば、マイホームやマイカーを手放す人も出てくるだろう。そうなれば、国や自治体が目論んでいる家賃収入的な税収確保もおぼつかなくなる。面倒とは思うが、フローに対してどれだけ多くの税収を得ることができるかを政府・与党には検討していただきたい。それが、景気対策、雇用の創出と安定、消費の拡大、財政再建につながっていくと思うのだが、どうだろうか。
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