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12月8日付の読売新聞で、政府・与党が、大企業の交際費のうち50%を税務上損金算入できるように制度変更する方針を固めたことが報じられた。今までは、資本金が1億円を超える大企業は、交際費を経費として計上しても、税務上は経費として認められなかったが、今後は交際費として支出した額の50%までは経費として認められるようになるらしい。しかも、交際費の支出額に上限を設けないということだ。

消費税率引き上げによる消費減少を抑える目的


今回の制度改正は2年から3年程度の時限措置ということだ。2014年と2015年に段階的に消費税率が8%、10%と引き上げられることから、消費が落ち込むことが予想される。その影響を小さくするために大企業が交際費を使いやすい環境を作っておこうというのが、政府・与党の狙いのようだ。

この記事を書いている2013年12月時点では、大企業の交際費は1円も税務上の経費と認められない。だから、交際費を支出しても、節税効果は一切ない。これに対して資本金1億円以下の中小企業の場合は、800万円を上限として交際費の経費計上が認められている。だから、中小企業の場合は800万円までは、交際費を支出すれば、その分節税効果があるわけだ。

今回の政府・与党が検討している大企業の交際費の税務上の取り扱いが、来年4月から認められるようになれば、大企業の方が中小企業よりも大きな節税効果を得ることが可能となる。

交際費を使えば使うほど節税効果が高まる大企業


12月9日のNHKのニュースによると、中小企業の交際費800万円までは損金に算入できるという取り扱いは継続されるようだ。このNHKのニュースから考えると、大企業の方が中小企業よりも交際費を支出した時の節税効果が高くなる場合がある。この点について簡単に説明しよう。

このようなことは通常起こりにくいのだが、売上、経費、交際費の支出額がまったく同じ大企業と中小企業があったとする。売上は3億円、経費は1億8,000万円、交際費は800万円で、税率は両方とも40%だったと仮定すると、2013年12月現在の制度上は、大企業が納める税金は4,800万円、中小企業が納める税金は4,480万円となる。

kosaihihanbun.gif

大企業は中小企業よりも320万円多く税金を納めることになる。これは、大企業が支出した交際費800万円が全額損金算入できないからであり、800万円に税率40%を乗じた額と一致する。

では、売上、経費、交際費、税率の条件は変えず、大企業の交際費のうち50%を経費として認めた場合はどうなるであろうか。それを表したのが下の表だ。

kosaihihanbun2.gif

大企業も50%までは交際費を経費として計上することが認められるので、この場合は400万円が損金算入可能だ。節税額は400万円に税率40%を乗じた160万円となる。中小企業については、条件が変わらないので税額も変わらない。

このように大企業の場合は、50%ではあるが交際費の支出額に上限がないので、使えば使うほど節税効果が高まる。

大企業優遇の税制になるのでは?


もう少しだけ、今回の政府・与党が検討している大企業と中小企業の交際費の取り扱いについて説明しておく。

大企業は支出額の半分しか交際費を経費計上できないが上限はない。これに対して中小企業は現在の税制では、全額損金算入できるものの、800万円までしか交際費を経費として計上できない。一見すると、中小企業の方が交際費に関して優遇されているように思える。しかし、大企業の交際費に上限がないことから、その支出額によっては大企業の方が優遇される場合がある。

極端な例ではあるが、大企業も中小企業も1億円の交際費を支出したとしよう。それ以外の条件は上記の例と同じと仮定する。

kosaihihanbun3.gif

上の表を見てもらえばわかるように大企業の交際費は5,000万円まで経費計上が認められているのに対して、中小企業は800万円までしか経費計上が認められない。そのせいで、大企業よりも中小企業の方が税額が1,680万円多くなるのだ。

これを見ると、今回の交際費の制度変更は大企業優遇なのではないだろうか。3年程度の時限的な措置とはいえ、中小企業よりも大企業の税負担が軽くなるのには批判が出てきそうだ。

読売新聞によると、中小企業も大企業と同じ制度を選べるようにすることも検討しているということだから、おそらく、中小企業も800万円を超えて支出した交際費のうち50%は経費計上を認めるようにするのだろう。

なお、1億円を交際費として支出した場合の上の表を見ると、大企業は7,000万円の税引前利益から税額2,800万円を差し引いた4,200万円が税引後利益と勘違いしてしまいそうだが、そうではない。同様に中小企業の場合も税引前利益11,200万円から税額4,480万円を差し引いた6,720万円が税引後利益となるわけではない。

上の表は、交際費が大企業は5,000万円、中小企業は800万円となっているが、これは税務上経費計上が認められる交際費の額を表したものだ。実際の交際費の支出額はともに1億円なので、本当の利益は、以下の表のようになる。

kosaihihanbun4.gif

これを見ればわかるように大企業も中小企業も税引後利益はマイナスだ。税務上、交際費の経費計上が認められるようになったからと言っても、交際費の支出額と同額の節税効果があるわけではない。節税効果は交際費の支出額に税率を乗じた額だけということには注意をする必要がある。上の例のように利益以上に交際費を使うことは愚かな行為だ。

大企業の経理担当者は、この点について理解しているが、中小企業の社長や個人事業主の中には、まったくわかっていない人もいるので、この記事を読んでいたら、交際費の支出には十分に注意していただきたい。

アメとムチの税制改正


さて、今回の大企業に交際費の経費計上を認めるというのは、いわばアメを与えたことになるわけだが、やはり、ムチもしっかりと用意されていた。それは、高収入のサラリーマンの給与所得控除額の減少だ。

先ほど、政府・与党は高給取りのサラリーマンの増税を検討していることが報じられた。大企業の交際費の経費計上を認める代わりのサラリーマン増税のような気がする。なかなかうまい話というものはないようだ。

それにしても、今回の大企業の交際費の経費計上は、庶民には、大したメリットがないように思える。大企業の役員クラスの方々は、給与所得控除が減っても会社の交際費が使いやすくなったことを考えると、利益と不利益が相殺されるだろうが、庶民にとっては、2014年4月からの消費税率の引き上げというダメージが増えるだけのような気がしてならない。

最終的に国の歳入が決まっている以上、税制改正は、どの税目の負担を増やすか、またはどの税目の負担を減らすかといった入り繰りの問題でしかない。おそらく、国の無駄遣いを減らして財政を再建するという発想はないのだろう。

成長や拡大を追いかけ続ける限りは仕方がないことだが、庶民の負担ばかりが増える制度改正は勘弁してほしいものだ。
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