上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
12月11日付の産経新聞によると、自民党と公明党は、12日にまとめる平成26年度税制改正大綱に「消費税率10%時」に軽減税率を導入することを明記する方向で最終調整に入ったようだ。これは、消費税率が10%に引き上げられた時とも解釈できるが、消費税率が10%である期間とも解釈できる。消費税率引き上げ時に軽減税率を導入したい公明党と税収が減ることを懸念している自民党双方の意向に配慮した文言にしたということらしい。

公明党が軽減税率の導入で、国民の家計防衛を考えているのなら、TPP交渉で、重要5品目の関税撤廃に動いてくれた方が、家計の節約には助かる。

農家保護のための重要5品目


TPPで、全ての輸入品目の関税を撤廃すると、さすがに困る人が出てくる。その大部分が農家の方々だ。そこで、政府としては、米、麦、牛肉と豚肉、乳製品、サトウキビなどの甘味資源作物については、聖域とし、TPP交渉で関税撤廃に反対している。

もしも、公明党が、国民の家計防衛を本気で考えているのなら、食品などの生活必需品に軽減税率を導入するよりも、聖域を無くして、重要5品目の関税撤廃に向けて動くべきだろう。筆者としては、牛肉と豚肉に関しては、関税を撤廃してほしい。完全撤廃が無理でも今よりも低くする方向で、自民党を説得して欲しい。

SW091_L.jpg

そもそも人間は肉食動物だ。農耕が始まるずっと以前は、狩猟によって食いつないできたのだ。それと関係しているのかどうかはわからないが、人間はタンパク質と脂質は絶対に食物から補給しなければ生きていけない。だから、どんなに生活が貧しくなったとしても、タンパク質と脂質が含まれている食べ物を必ず食べなければならない。

このタンパク質と脂質を同時に補給できるのが、誰もが知っているように肉なのだ。本気で国民の食生活を心配しているのなら、タンパク質と脂質の確保こそが重要だ。そう考えると、乳製品の関税撤廃も進めてもらえると、なおありがたい。

現在、牛肉には、38.5%の関税がかかっている。スーパーのチラシで、米国産牛肉(肩ロース)の値段を調べてみると、100g当たり198円だった。これは特売価格なので、普段はもっと高いわけだが、もしも、牛肉の関税が撤廃されれば、3割程度は安くなるのではないだろうか。特売だと、100g当たり138円といったところか。

仮に公明党が導入を強く主張している軽減税率が適用され、牛肉には一切消費税がかからなかったとしても、現在の特売価格から計算すれば、100g当たり189円にしかならない。こうやって計算してみればわかるように、軽減税率導入よりも牛肉の関税が無くなった方が、はるかに財布に優しいのだ。

豚肉の関税はややこしい


さらに豚肉の関税も見てみよう。

豚肉は、牛肉よりも関税が複雑になっている。農林水産省大臣官房国際部貿易関税等チームが今年6月に公表した「我が国の農林水産物の関税制度について」によると、豚肉の関税は以下のようになっている。
  1. CIF価格≦64.53円/kg:482円/kg
  2. 64.53円/kg<CIF価格≦524円/kg:(546.53円-CIF価格)/kg
  3. 524円/kg<CIF価格:4.3%

CIF価格というのは、輸入貨物の価格に輸入港までの運賃、保険料を加えた価格のことだ。この記事では、便宜上、CIF価格のことを輸入価格と表記する。

さて、上の関税の計算式を見ると、安い輸入豚肉は関税率が高くなり、高い輸入豚肉は関税率が低くなっているのがわかる。例えば50円/kgの輸入豚肉には、482円の関税がかかるので、輸入価格の9.64倍となるわけだ。

安い輸入豚肉ほど関税が高くなるのは、国内産豚肉が外国産豚肉と比較して、価格面で不利にならないようにするためなのだろう。しかし、この記事を書くためにいろいろと輸入豚肉の関税について調べていると、一概にそうとは言えない状況となっているようだ。

我々消費者が、スーパーでも精肉店でも構わないが、生の豚肉を買いに行くと、国産豚肉と外国産豚肉が店の棚に並んでいる。外国産豚肉に数百%の関税がかかっても、国産豚肉よりも安い価格設定となっていることから、国内の畜産農家を保護するためには、高い関税で守る必要があるなと思ってしまう。ところが、どうやらそうではないのだ。

NPO法人の食肉の生産と流通を考える会が、2013年4月12日に公表した「TPP の進展に伴い予測される豚肉差額関税撤廃と我国の養豚産業の課題」によれば、我々が小売店で購入する外国産豚肉の実際の関税率は、ヒレ4.30%、ロース4.79%、バラ4.69%、肩ロース5.01%となっているのだ。関税率が低いということは、高い価格で輸入しているということだ。つまり、店頭に並んでいる外国産豚肉は、それほど安い価格で輸入されていないのだ。

上記報告書によれば、現在の差額関税制度は、欠陥が多く、国内の養豚生産者の保護のために機能していないということだ。それどころか、ウデやモモといった加工食品に使われる安い部位ほど関税率が高くなっているため、国内の食肉加工業者の経営を圧迫する原因となっていることも指摘している。なお、同報告書によれば、ウデ9.01%、モモ6.83%の関税率となっている。

本来なら、加工食品に使われる豚肉は、高級部位ではないため、安価で加工食品メーカーに提供され、低価格の加工食品が小売店に陳列されるべきだが、実際にはそうはなっていないのだ。詳しい内容は、上記の報告書を検索してダウンロードし、確認していただきたい。

とにかく、安くで手に入るはずの加工食品が、制度の不備から、消費者は高い価格で買わなければならない状況となっているのだ。

軽減税率導入よりも牛肉と豚肉の関税撤廃が先


ここまで牛肉と豚肉の関税のことを述べてきたが、食品に軽減税率を適用するよりも、これらの関税を撤廃する方が、消費者の支出が抑えられることが分かったはずだ。

畜産農家の保護についても考えなければならないが、「食肉の生産と流通を考える会」の上記報告書によれば、制度の不備から養豚の飼料費が他国よりかなり高い水準となっていることが指摘されているから、これを改善することで、輸入豚肉との価格の差を縮めることができるはずだ。

米、麦、さとうきびなどは、人間が必要とするタンパク質と脂質を大して含んでいないから、関税を撤廃するかどうかの議論は、後回しでも良いだろう。むしろ、これらは過剰摂取すると、様々な成人病の原因となるので、国民の健康を考えると、価格が高い方が望ましいと言える。高価で健康に悪いものを食べるかどうかは各人の自由だ。

公明党が本気で家計防衛を考えているのなら、関税の問題に積極的に向き合って欲しい。
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントの投稿

非公開コメント

PAGETOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。