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12月13日付の朝日新聞によると、与党税制改正大綱が決まったようだ。朝日新聞に限らず、他の紙面でも大きく採り上げられている。各紙とも、個人の税負担が増しているという批判的な内容となっているが、今回の税制改正は、それほど庶民へのしわ寄せが大きくないのではないかと感じている。

課税の平等性については、金持ちの人ほど税負担を重く貧しい人ほど税負担を軽くするべきという垂直的平等と、税負担を一律同じとする水平的平等の2種類がある。前者の代表は累進課税となっている所得税、後者の代表は消費税だ。

この垂直的平等と水平的平等という視点から今回の税制改正をみていくことにする。

垂直的平等


まずは、垂直的平等から。

今回の税制改正大綱では、高収入のサラリーマンへの課税が強化されることとなった。具体的には、年収1,200万円超のサラリーマンの給与所得控除を2016年に減額し、2017年からは年収1,000万円超のサラリーマンの給与所得控除を減額することになった。

これについては、「高額所得者の給与所得控除が減額される?」の記事で触れたが、財務省の当初の案は以下のとおりだった。
  1. 年収1,000万円超の給与所得控除額の上限を220万円に
  2. 年収1,200万円超の給与所得控除額の上限を230万円に
  3. 年収2,000万円以上の企業役員を対象に給与所得控除額を125万円に

筆者は、間を採って「2」の案になるのではないかと予想したが、本当にそうなってしまった。以前、テレビ番組で、元官僚の方が、役人は、検討案を3つ提示して、真ん中の案になるように国会議員を説得するようなことを述べていたが、今回の所得税の改正を見ると、どうやら本当なのかもしれない。

新聞各紙は、今回の所得税の改正について、家計に負担を強いる改正だと批判しているが、日本人の平均年収が400万円ほどということを考えると、個人の中でも裕福な人に対する課税の強化なので、庶民の負担は増えてはいない。むしろ、より垂直的に平等となる改正だと言える。筆者は、この改正を評価している。

水平的平等


次に水平的平等の観点から税制改正を見てみよう。

消費税率は、2014年4月から8%となる。さらに2015年10月からは10%に引き上げられる。消費税は、高額の買い物でも少額の買い物でも、同じ税率が適用されるから水平的に平等な税制だ。税率が10%に引き上げられると、庶民の暮らしがきつくなるという批判があるが、金持ちだって同様に10%の税率が適用されるので、日本国民全員が平等に消費税を納めることになる。

公明党が推す軽減税率だが、新聞記事を読む限りでは、2015年10月の消費税率10%引き上げ時に導入するのは時間的に難しいということだ。このあたりのことから、新聞各紙は、家計への負担が増したと報じているのだろう。

だが、軽減税率を導入すると不平等になる場合もあることを指摘しておく。

公明党は食料品などの生活必需品に軽減税率を導入すべきだと主張している。では、食料品に関しては消費税が一切かからないようにしたとしよう。庶民が100g当たり100円の豚肉を購入した場合、軽減税率のおかげで本来10円納めるべき消費税がゼロになる。庶民にとっては、10円と言えども節約できればありがたい。

ところが、軽減税率を導入すると、金持ちが100g当たり1,000円の牛肉を購入した場合も、消費税はゼロとなる。つまり、金持ちは100円の節約となるわけだ。

両者を比較して、軽減税率が本当に平等と言えるだろうか?むしろ、食料品と言えども、100g当たり1,000円の牛肉はぜいたく品として課税を強化すべきだという意見の方が多いのではないだろうか。しかし、いくら以上の肉ならぜいたく品にあたるのかという判断は難しい。

そうすると、食料品でも、品目によって軽減税率を適用するものとそうでないものを分けた方が平等と言えるが、そのようなことをすると、小売店の事務負担が大きくなる。一見、庶民の税負担を減らすかに見える食料品に対する軽減税率だが、高額な食料品を購入した方が消費税の節約額が増えるということを知っておいた方がいいだろう。

軽自動車税は増税


その他の税金の改正点についても、簡単に紹介しておく。

軽自動車税については、2015年から現在の7,200円から1万800円に増税される。対象となるのは新車で、現在所有している軽自動車については、現行の7,200円のままだ。これについて、スズキ自動車の鈴木修会長兼社長は、テレビのインタビューで、「決まったものは仕方がない。しかし、50%も一気に増税することが妥当なのだろうか」といった旨の発言をされていた。

確かに増税幅が大き過ぎると筆者も感じる。しかし、軽自動車とは言えマイカーを持てるということは、ある程度裕福な生活をしていると言えるので、少々の増税なら受け入れてもいいのではないだろうか。ただ、筆者は資産課税には基本的に反対だ。今回、軽自動車税が増税されるが、消費税が10%に引き上げられた時には自動車取得税が廃止される。筆者は、軽自動車税や自動車税を廃止して、自動車取得税を増税する方が良いと考えているが、そうはならなかった。

公明党が食料品に対する軽減税率を主張するのなら、バスや電車などの公共交通機関の運賃こそ、軽減税率を適用すべきではないだろうか。マイカーを持てない庶民は、バスや電車に頼って通勤や通学をしている。先ほども指摘したが、食品の場合、ものによっては、ぜいたく品になるものもある。しかし、バスや電車が贅沢な乗り物となることはほとんどない。

もちろん新幹線のグリーン車や最近登場した九州の豪華列車などは、贅沢な乗り物となるかもしれないが、通勤や通学で必要とする定期券などは、軽減税率の対象にしても良さそうなものだ。この点からも公明党が庶民の生活防衛のために軽減税率の導入を主張しているのか疑問に感じる。

大企業の交際費等を50%まで経費計上可能に


これまで交際費等の支出を、税務上、一切経費として計上できなかった大企業にその支出額の50%まで認めることとなった。ただし、交際費等の支出でも飲食に関する支出に限られている。

接待ゴルフに支出したものまで、損金算入を認めると、国民も不満に思うだろうが、飲食に限定するのであれば、ある程度、許容できるのではないだろうか。ただ、高級料亭での飲み食いの代金まで、その支出額の50%が必要経費として認められることには違和感がある。とは言え、出張で地方に出かけたビジネスマンの労をねぎらうために地元企業が夕食を御馳走するくらいの交際費なら目をつむっても構わない。これなら、むしろ、消費拡大につながって景気が良くなる可能性もある。

しかし、大企業に交際費の50%までを必要経費として認めると、何のために高収入のサラリーマンに対する増税を行ったのかがわからなくなる。結局、以前は社長がポケットマネーから支出していた交際費を企業の財布から支出するようになるだけのような気がしてならない。

法人住民税6,000億円を国税に


国民の税負担には影響を与えないが、法人住民税6,000億円を国税にして、財政力の弱い自治体に地方交付税として再配分することになる。消費税率の引き上げで自治体間に税収の格差が生まれるため、それを是正するための改正ということだ。

これに関しては、東京都が反対している。12月13日付の産経新聞によれば、東京都は1,000億円の税収を手放すことになるようだ。東京オリンピックを控えているだけにこの反発は当然と言えるが、財政力の弱い自治体を救済するためには仕方がないと割り切って欲しい。

簡易課税の見直し


小規模事業者に認められている消費税の簡易課税の見直しも決まった。

簡易課税がどういったものなのかというのは以前に記事にしているので、そちらを参考にしていただきたい。今回の簡易課税の見直しは、みなし仕入れ率を改正することで、事業者が消費税の一部を自分の財布の中に入れてしまう、いわゆる益税を減らすことが目的だ。

対象となるのは、不動産業と金融保険業だ。前者はみなし仕入れ率が50%から40%に、後者は60%から50%に引き下げられる。増税だという指摘もあるが、より公平な課税への改正なので喜ばしいことだ。


以上、簡単に2014年度の税制改正大綱の中身を見てきたが、消費税率の引き上げ以外は、新聞各紙が報道するほど、庶民の税負担は増えていないのではないだろうか?むしろ、高収入のサラリーマンへの課税が強化されたことから、今までよりも垂直的に平等となったと筆者は感じている。
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