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4月10日付の新聞各紙で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、日米の交渉が11時間にも及んだことが報じられた。

米、麦、牛肉と豚肉、乳製品、サトウキビの農産品重要5項目の関税を維持したい日本と関税撤廃か限りなくゼロを要求するアメリカとで、折り合いがつかなかったようだ。日本が、重要5項目の関税を維持しようとするかぎり、今後も交渉は難航しそうだ。

日本国民の栄養確保を考えるべき


4月7日に日豪のEPA交渉で、オーストラリア産牛肉の関税が38.5%から段階的に引き下げられることになった。具体的には、冷蔵は15年かけて23.5%、冷凍は18年かけて19.5%まで徐々に引き下げる。

日本側は、オーストラリアとの交渉で牛肉の関税率を段階的に引き下げることを決定したことで、アメリカ側の関税撤廃の要求を軟化させる狙いであったが、うまくいっていないようだ。


筆者は、以前から重要5項目の関税の撤廃が理想だと考えている。

日本の食糧自給率の低さから考えても、高い関税を維持することは、国民の栄養補給という面で好ましいとは思わないからだ。特にタンパク質と脂質は、絶対に食品から補給しなければならない必須の栄養素であることから、国民の健康を考えると、動物性タンパク質は十分に確保されていなければならない。

現状のカロリーベースの食糧自給率から見ると、明らかに日本国民のタンパク質と脂質は不足している。だから、輸入食肉の関税を撤廃するか、現状よりも大幅に引き下げて、国内で流通する食肉の量を増やし、安価に購入できるようにする必要があるのだ。


しかしながら、国内の畜産農家の方の暮らしを考えると、いきなり関税を撤廃するのは現実的ではないだろう。オーストラリアとのEPA交渉のように段階的に引き下げていき、最終的には関税をゼロにするのが、今考えられる最善の策かもしれない。


サトウキビの関税は今すぐに撤廃すべき


サトウキビの関税については今すぐ撤廃すべきだ。

2014年3月にWHOは、1日の砂糖の摂取量を総カロリーの5%未満、25g以下に抑えるように呼びかけた。糖質の摂取は、虫歯の原因となることから、その増加を食い止める事が狙いのようだ。

まだ、この情報を知らない人もいるだろうし、食品メーカーも、消費者に知られて欲しくない情報だと思う。しかし、糖質の過剰摂取が、虫歯の他に歯周病、糖尿病、動脈硬化、認知症、うつ病などの原因となることを指摘している医師が増えていることから、日本国民の糖質に対する意識は変わっていき、その摂取量が減少していくことは避けることができないだろう。

そうなれば、サトウキビの国内生産量も減少するのだから、高い関税をかけて保護する理由がなくなる。そうなってから、サトウキビの関税を引き下げるから、日本車の関税も引き下げてほしいとアメリカと交渉しても、先方が応じるとは思えない。

だから、今この時期にサトウキビの関税を撤廃し、日本車の関税引き下げの交渉材料とすべきだと、筆者は考えている。


また、糖質は砂糖だけでなく米や小麦にも大量に含まれている。日本人の糖質摂取量の多くは、米や小麦によるものだから、これらも将来的には、消費量が落ち込んでいくはずだ。だから、米と麦に関しても、早い段階で関税を引き下げた方が良い。


オーストラリア産チーズの関税も引き下げ


オーストラリアとのEPA交渉で、オーストラリア産チーズにも無税、低関税の輸入枠が新たに設けられたことが、4月9日付の朝日新聞で報じられた。

5,250トンの輸入枠を設け、20年間でそれを26,100トンまで増やし、プロセスチーズの原料となるナチュラルチーズを日本のチーズと混ぜて使うことを条件に無税にするようだ。

2014年4月から消費税率が8%に上がったのと同時に、チーズの税抜き価格も上がっている。価格が据え置かれているものについても、120g入りだった6pチーズが108gに減っていたり、8枚入りのスライスチーズが7枚入りになっていたりする。

乳製品も、良質なタンパク源であることを考えると、少しでも関税が引き下げられることは、国民の健康を考えるとありがたいことだ。


以下は農林水産省のチーズ需給表を元に作成した2003年から2012年までの国内での、ナチュラルチーズの消費量のグラフだ。

cheese.gif

このグラフを見てもらえば明らかなように国産のナチュラルチーズの消費量は、全体の20%程度しかない。朝日新聞の記事では、今後もチーズの国内消費量は伸びていくということなので、輸入量を増やしていく必要がある。

1990年には、チーズ総消費量は15万トン程度であったが、2012年には30万トンを超えている。20年ほどの間に2倍も日本人はチーズを食べるようになっているのだ。

このペースで消費量が伸びていけば、オーストラリアだけでなくアメリカからの輸入量も増やしていかなければならないだろう。そう考えると、今のうちにアメリカ産の乳製品の関税も引き下げておいて、将来の国内のチーズ需要の増加に対応する必要があるのではないだろうか。


乳製品の関税を引き下げると、国内の酪農家の方の暮らしに大きな影響を与えるだろう。だから、乳製品に関しても、牛肉と同様に段階的に関税を引き下げていくのが、現実的な対応だろう。


今、食肉や乳製品の関税引き下げ圧力に苦心しているのは、これまで、畜産や酪農に力を入れてこなかった我が国の政策に問題があったとしか思えない。

これからは、米、小麦、砂糖といった炭水化物中心の食糧政策ではなく、食肉や乳製品など、タンパク質中心の食糧政策に転換していく必要がある。畜産農家や酪農家が、輸入製品と市場で戦えるだけの力を付けるための政策を行わなければ、国民の健康維持を図ることはできないだろう。
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