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4月22日付の朝日新聞によると、政府の有識者会議で21日、我が国の人口減少を食い止めるために数値目標が必要ではないかという声が上がったようだ。そして、50年後も人口1億人を維持するために2020~30年に合計特殊出生率を「2.07」まで回復させるという目標を提案したようだ。

現在の出生率は1.4程度なので、このままでは50年後の我が国の人口は8千万人程度となることが予測されている。

何のための少子化対策なのか?


筆者は、少子化対策には常々疑問を感じている。

そもそも何のために少子化対策をしなければならないのか。なぜ、人口が増え続けなければならないのか。

その辺りの理由がよくわからない。

経済成長のためという意見もあるが、人口が増加しなければ経済が成長しないわけではなかろう。確かに、取引規模が大きくなることが経済成長だと思い込んでいる限りは、人口が増え続ける必要がある。しかし、そもそも経済成長は、科学と同じように我々が暮らしやすい社会を作るために必要なのであって、それを実現するために規模が拡大し続けなければならないということはない。


また、社会保障の観点からも人口増加が大切だという考え方がある。

これも、現在の年金制度や医療制度を前提とすれば、ごもっともなことだ。高齢者の生活を支えるために若者がしっかりと働いて、その生活費を負担するというのは、暮らしやすい社会の実現には重要なことだ。だから、この考え方に筆者は賛成なのだが、しかし、現在の年金制度じゃなくても、それは可能だ。

現在の年金制度には、報酬比例部分があるので、現役時代にたくさん稼いでいた人ほど、多くの年金を支給される。高度成長やバブルを経験している世代は、多くの保険料を払っていただろうから、報酬比例部分も多く支給される。しかし、その年金支給を支えるのは、長引く不景気の中、少ない給料で働いている現役世代だということを考えなければならない。

すなわち、現在の年金制度は景気の波にも大きな影響を受けているのだ。人口減少だけが問題なのではない。


高齢者1人を現役世代5人で支えるとしたら


仮に人口減少が、社会保障制度の維持を困難としているというのなら、人口増加に耐えうる社会を築かなければならない。

高齢者1人の生活を現役世代5人で支えるとした場合、2千万人の高齢者に対して1億人の現役世代が必要になる。高齢者3千万人では、現役世代は1億5千万人となる。就労人口に算入されていない未成年者を含めると、我が国人口は2億人程度いなければならないだろう。

なお、総務省統計局の発表によると、2013年9月15日現在の65歳以上の高齢者人口は3,186万人だ。

1億2千万人のうち9千万人が現役世代だったとしても、5人で1人の高齢者を支えるためには、約6千万人の現役世代が不足することになる。

今よりも6千万人も人口が増えて大丈夫なのだろうか?

そもそも、少子化対策を議論する前に国民が生きていくために必要な食糧を確保することを考えるべきではないだろうか?政府が、この点について議論している気配はうかがえないし、マスコミもほとんど採り上げていない。もしかしたら、政府でこの点に関して何らかの議論がなされているのかもしれないが、メディアで報じられてはいないようだ。

国民の食糧が、十分に確保されていない状況での人口増加はあり得ない。


日本は決して飽食ではない。むしろ栄養失調社会だ


日本は、よく飽食社会だと言われるが、筆者は決してそのようには思わない。

むしろ、多くの日本人が栄養失調状態にあると考えている。

確かに現代の日本で餓死する人は少ない。しかし、それは、ジャンクフードが出回っているから、直ちに飢えるということがないだけだ。そして、多くの日本人が、本来必要とする栄養の代わりにジャンクフードを毎日食べているのだが、それに気づいている人は、ほんの一握りにすぎないだろう。


筆者が特に深刻だと思っているのが、タンパク質の摂取不足だ。

人間が1日に必要とするタンパク質は、体重×1gと言われている。例えば、体重60kgの人なら60gのタンパク質が必要となる計算だ。しかも、この前提は、卵のような良質なタンパク質を補給する場合であり、豆類のような動物性タンパク質よりも良質度の劣るタンパク質の場合だと、この2倍は補給しなければならない。

「社会実績データ図録」というサイトの以下のページによれば、2010年の日本人男性の平均体重は69.6kg、女性は54.0kgだ。


だから、日本人男性は1日に約70g、女性は約54gのタンパク質を摂取しなければならないのだ。しかし、日本人の1日あたりのタンパク質の摂取量は、今世紀に入って50gを超えたことがないので、明らかに不足している。

tanpakushitsusuii.gif

上のグラフは、主な動物性タンパク質だけを抽出して作成したものだが、植物性タンパク質を含めても、1日に必要なタンパク質を補給できていないだろう。体重に対して2gのタンパク質を補給すべきだという識者もいるが、現在の食肉、魚介、鶏卵、牛乳、乳製品の供給量では、全国民がこの水準を満たすのは不可能に近い。


国民の栄養補給を重視するならTPP交渉でアメリカの要求を飲むしかない


厚生労働省の食糧需給表によると、2012年の国内産の食肉の生産量は3,273千トンだ。

これを日本人1億2千万人で食べたとすると1人当たりの消費量は27.28kg/年となる。1日当たりにすると、74.73gとなる。肉には重量の約20%のタンパク質が含まれているから、日本人が1日に食肉から補給しているタンパク質は、約15gとなる。上のグラフの肉類とほぼ同じ数字だ。

現在、日本人男性のタンパク質摂取量を50g/日とした場合、その不足量は20gとなる。つまり、現在の食肉生産量を2倍に増やしても、まだまだ必要なタンパク質摂取量を満たすことができないのだ。


政府は、今から食肉の生産量を増やす方向で、食糧政策を検討していかなければならないということがおわかりだろう。しかし、すぐに食肉の生産量を2倍以上にすることは難しい。

では、どうすれば良いのか?

その答えは、当たり前だが輸入に頼るということだ。

ところが、政府は、アメリカとのTPP交渉で、牛肉や豚肉の関税を守ることばかりを考えている。国民の健康を重視するのであれば、関税をアメリカが要求する水準まで引き下げて食肉輸入量を増やすべきだ。

こう述べると、国内生産者の生活はどうなるのだという批判があるが、そもそも、国民にタンパク質の摂取量が不足しているということを啓蒙していけば、食肉の消費量が増えるのだから、国内生産者も潤い、何の問題も起こらない。


少子化対策を進めるなら、国民の食を確保する必要がある。

そのためには、まず、海外からの輸入で充分に食糧を確保できる体制を整えておく必要があると思うのだが、どうだろうか。
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