上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
5月12日に財務省が2013年度の国際収支の速報を公表した。

すでに多くの新聞で報じられているので、ご存知の方も多いだろうが、前年度の経常黒字が、1985年度以降で最も少なくなり、1兆円を割り込んだ。経常黒字の減少に危惧する意見が多くみられるが、果たして悲観すべきことなのだろうか?

貿易収支は10兆円の赤字


経常収支は、貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支からなり、2013年度は7,899億円の黒字だった。

貿易収支は、輸出額から輸入額を差し引いたもので、前年度の輸出額は約69兆円、輸入額は約80兆円で、差引約10兆円の赤字となった。これにサービス収支の赤字額約3兆円を加算すると、貿易・サービス収支は約14兆円の赤字となる。

赤字と聞くと、悲観すべきことのように思えるが、輸出額は前年度よりも約7兆円増加(+12.2%)しているので、日本製品が売れなくなっているということではない。特に日本の自動車メーカーが頑張ったことが、輸出増に大きく貢献したのだろう。

一方の輸入については、円安の進行の影響もあり、前年度よりも約13兆円の増加(+19.6%)となった。円安の他に原発の停止による液化天然ガスや原油の輸入が増えたことも輸入増に影響を与えている。

ここ数年の貿易収支の赤字は、我が国のエネルギー政策の影響を受けたものと言えるので、日本企業の競争力が極端に落ちたということではない。しかし、エネルギーの費用負担が増していくと、今後、日本企業の競争力が低下していくだろうから、対策を講じる必要がある。


伸び続ける所得収支


所得収支に関しては、ここ数年伸び続けている。2013年度の第一次所得収支は約16兆円で、前年度よりも約2兆円増加(+14.0%)している。

なお、第一次所得収支とは企業の海外投資に関わる収支のことで、第二次所得収支は海外援助などの収支のことだ。

第一次所得収支の伸びは、海外生産が増え続けていることを意味する。国内で製品を生産するのではなく、海外に工場を建設し現地で生産を行い、そこから得られる利子や配当などの収入が伸びているということだ。第一次所得収支の黒字幅が伸び続ければ、国内生産から海外生産への移行が進むということだから、国内産業の空洞化の心配がある。

そうならないためには、国内で活動している企業が、国外の企業よりも何らかの優位性を持たなければならない。しかし、これは、言うは易し行うは難しで、一朝一夕でどうにかなるものではない。


経常黒字の縮小や赤字の拡大は将来性がある


一般に黒字幅の縮小や赤字の拡大は、悲観すべきことだとされる。

確かに企業の場合、利益が少なく、頻繁に赤字を出しているという状況は危険だ。しかし、国際収支の面では、必ずしも、黒字幅の縮小や赤字を嘆く必要はないと筆者は考えている。

例えば、輸出よりも輸入の方が多いということは、海外から良い製品が国内に入ってきているということだ。また、海外から安い製品が入ってきているともいえる。これは、品質面もしくは価格面で、国産製品が劣っていることを意味する。

劣っていると言うと、深刻に思えるだろうが、これは言い方を変えると、他国から学び吸収できる知識や技術があるということだ。

経常収支が大幅に黒字だった頃の日本人は、他国から学ぼうとする姿勢がなかった。そのおごりから、我が国は長期の不景気に苦しんでいるのではないだろうか。あまりに黒字が多ければ、ついつい油断してバブルの時のように金が金を生む虚業に走ってしまう企業が増えてしまう。そして、ある時、バブルが弾け、今まで怠けていたツケを長期間にわたって払わされる。

まるで、寝ている間にカメに追い越されたウサギのようではないか。

我が国経済の健全性を保つためには、経常収支は黒字と赤字を行ったり来たりしている方が、案外良いのかもしれない。


以下に1997年から2013年までの経常収支の推移、経常収支の内訳、貿易収支の内訳のグラフを掲載しておく。なお、期間は「年度」ではなく「年」になっているので、今回の記事で記した金額とは異なっていることに注意していただきたい。

kokusaishushi131.png

kokusaishushi132.png

kokusaishushi133.png



このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントの投稿

非公開コメント

PAGETOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。