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5月14日にソニーが発表した2013年度の決算は、最終損益が1,283億円の損失となり、2014年度も500億円の赤字予想であることが、新聞各紙で報道された。

同日の産経新聞によると、「パソコン事業の売却に伴う特別損失やDVDやCDのディスク製造事業の低迷などが響いた」ということだが、これだけだと、具体的にどの程度の影響があったのかがわからない。そこで、筆者は、ソニーの2013年度の決算短信と2011年度及び2012年度の有価証券報告書をダウンロードして、その内容を分析することにした。

連結損益計算書とセグメント情報


まず、ソニーの連結損益計算書の2011年度から2013年度までの3期間の比較表を以下に示す。なお、ソニーは、米国基準で連結財務諸表を作成しているので、日本基準とは若干表示が異なることに留意していただきたい。また、筆者が、要約している部分もあるので、実際の損益計算書とは様式が異なっている。

sony13nendo.png

売上高は毎期順調に増加しているが、営業利益の波が大きい。売上原価、販売費、一般管理費といった営業費用の中身に問題が隠れているようだ。


次に2012年度と2013年度のセグメント情報を以下に示す。
sony13nendo2.png

一見すると、モバイル・プロダクツ&コミュニケーションとホームエンタテイメント&サウンドが、大きな赤字を計上しているので、これが営業利益を大幅に減少させた原因のように思えるが、よく見ると、前期はそれ以上の赤字を計上していることがわかる。

他に営業利益を減らした原因がないか見ていくと、ゲームとデバイスの赤字が目につく。しかし、それより気になるのが、「その他」の赤字586億円だ。これは前期比で1,600億円も減少しているので、赤字の主要因と言える。


売上高増加の要因は円安、PS4、スマホ


さて、ソニーの連結売上高が前期比14.3%増の7兆7,672億円となった要因が何なのかを分析する。

決算短信を見ると、円安、プレイステーション4(以下PS4)の発売、スマートフォン(以下スマホ)の大幅な増収が売上高の増加の理由ということだ。確かにゲーム機のPS4の売上が好調だったということは、セグメント情報の「ゲーム」の売上高の大幅な増加を見ればわかる。また、スマホの大幅な増収というのも「モバイル・プロダクツ&コミュニケーション」の売上増から想像がつく。

しかし、これらの要因よりも売上高を向上させた要因が円安の進行だ。

決算短信の中では、前期と同じ為替相場で売上高を換算すると、前期比2%減となることが記載されている。これは、為替相場の影響を無視すると、「ゲーム」と「モバイル・プロダクツ&コミュニケーション」以外は、前期比で減少もしくは同程度の売上でしかなかったということになる。

なお、前期との比較で米ドルの変化率は17.1%の円安、ユーロの変化率は20.3%の円安だ。また、連結売上高に占める米国の売上割合は16.8%、欧州の売上割合は22.6%となっている。両地域で連結売上高の約40%を占めているので、為替相場が大幅に円安に振れたことが、売上増の主要因と見ても、まんざら間違いではなさそうだ。


営業利益の減少は前期の資産売却が理由


次に営業利益を分析しよう。

前期の営業利益は2,265億円、当期の営業利益は264億円と大幅に減少している。セグメント情報の「その他」の営業利益が前期は1,014億円で当期が-586億円だから、これが利益を悪化させた主要因と考えられるが、「その他」に分類されている以上、これ以上の分析は困難だ。

そこで、別の角度から営業利益の減少の原因を拾っていく。

営業利益の減少の主要因は、当期の決算短信からはわからない。なぜなら、前期に通常は発生しない利益が、「その他の営業損益」に含まれていたからだ。その中から、金額が大きなものを列挙する。

  1. エムスリー株式売却益及び再評価益=1,221億円
  2. 米国本社ビル売却益=655億円
  3. ソニーシティ大崎売却益=423億円
  4. 合計=2,299億円


上記3項目の利益の合計金額は、前期の営業利益2,265億円とほぼ一致する。これは、つまり、当期の業績が悪化したのではなく、前期に特別に発生した利益があったから、当期の営業利益が著しく悪化したように見えるだけなのだ。

なお、エムスリー株式売却益及び再評価益1,221億円のうち1,172億円は、当該株式の売却後、未だ保有している株式を再評価したことで発生した利益だ。売却の目的は、連結子会社から外すことにあったようで、持ち株比率は49.8%となっている。

エムスリー株式売却後もソニーが大株主であることに変化はない。支配従属関係にも、変化がなさそうだが、外部から見るだけでは実態はわからない。単に益出しが目的でエムスリー株式の一部を手放したようにも思える。


結論としては、前期も上記3項目の利益がなければ、営業利益が赤字かそれに近い状態だったのだから、当期は増収となっている分だけ、業績は良くなっていると考えられる。


長引く不景気で消費者は本物を選ばなくなっている


ソニーは、アップルと比較されることがよくある。

携帯用音楽プレイヤーでいうと、ソニーはウォークマンを製造販売しており、アップルはiPodを製造販売している。両者の用途はほぼ同じであるが、iPodの方が人気があった。

普通に考えると人気がある方が高品質と思ってしまうが、音質では以前からウォークマンの方が優れていると評判は良かった。しかし、消費者はiPodを選んだ。その理由については、識者が様々な見解を示しており、おそらく、彼らの言うことは当たっているのだろう。

ただ、筆者は、日本の消費者が、ウォークマンよりiPodを支持したのには、長引く不景気が原因でもあるように思う。

景気が悪くなると、節約志向が高まり、どうしても安いものを選ぶようになる。そうすると、品質よりも価格が重視され、消費者は、本物に触れる機会が少なくなる。こうなると、中身で商品の良しあしを判断するのではなく、外見で判断する傾向が強まり、デザイン性で優れているiPodに目が行くようになるのではないだろうか。

最近では、ウォークマンがiPodよりも売れるようになってきているようだから、音質という中身で商品を選ぶ消費者が増えつつあるのだろう。

こういう傾向が強まれば、良い製品を造ったメーカーが報われるようになり、景気も良くなると思うのだがどうだろうか。
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